アマルティア・センの入門的な本。
経済は上昇時には連帯し下降時には分裂する
それって、よく分かります。全体のパイが大きくなっているときは、多少の格差があっても大丈夫。
最も貧しい人も、たぶん所得が上がるから。
しかし一旦下降局面に入ると、階層は分裂し、多くの場合、最も貧しい階層が最初に最大の被害を受ける。
一番最初に被害をうけるのが私たちで
一番最後がロックフェラーさんというわけだ。
100円ショップで危険そうなものを買わざるをえない
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社会全体で言ってもそうだし、会社で言っても同じ。
儲けが小さくなった時に社長の給料を下げるのか、パートさんに辞めてもらうのか。
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インドネシア、タイ、韓国で年率10パーセントの成長を続けていたとき、
突然5パーセントになると、それだけで惨事が発生する。
そのための経済的安全保障が必要である。
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アジア各国の発展に教育が非常に重大な寄与をした。
ヨーロッパは自分たちの経済発達モデルだけしかないと考えてきたが
アジア諸国は後発して追いつく経済発達モデルを示した。
その際に教育水準が大切だった。
後発国においては教育の費用は相対的に安い
国家が教育を普及させマーケットがそれを利用する
マーケットが発達すれば国家は潤う
国家と市場の相補的な関係が成立する
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自由市場主義経済は必然的に格差を生む。格差が耐えきれなくなった局面で
民主主義のプロセスが作動して、所得の再分配を行う。
どの範囲の自由がいいのか、どの程度の再分配がいいのか、社会が合意を形成する。
大きな政府と小さな政府はそのあたりのことで
もちろんのことだが、人間のやる気を引き出すには自由経済市場の小さな政府がいいのだし
人間がお互いに悲惨な体験をしないためには高福祉の大きな政府がいいのだ
しかしどうだろう
私の考えは
小さな政府でもお金持ちが慈悲の心をもっていれば独り占めはしないはず
大きな政府でも能力のある人が必死で働き、やる気を維持すればいいはず
社会の全部の人が自分で自分を食べさせていけるわけではない
かならず能力のある人がそうでない人を養う部分が出てくる
それを社会制度として仕組みにすると、
大きな政府と小さな政府のどちらの場合でも、それを悪用する人が出てくる
悪用する人がいなければどちらの仕組みでもいい
それだけのことなのだと思う
人間の出来が良ければ
共産主義でもうまく行くしリバタリアンでもうまくいく
人間の出来が悪ければ
どちらの制度でも、うまくいかない
その中間の組み合わせで、ときどき混合具合を変えようというのが
実は二大政党主義の民主主義なのだが
それは人間の一部は悪党で怠け者だという前提に立っているのだと思う
強制的な徴税、刑法による社会秩序維持などが見られる。
言ってみれば、馬鹿扱いなんだな。馬鹿で悪党で怠け者として統治されている。
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能力によらず汗をかいた分だけ給料を支払う仕組みが出来ればいいんです
徹底的な自由主義市場でなにがまずいかといえば
能力のある人はたいして汗をかかずに儲けてしまうこと
儲かった人だけが次にも儲かること
そのあとはもう何もしないでも儲かる
敗者復活は難しい
徹底的な共産主義でまずいのは
能力があるのに怠けて汗をかかずに給料をもらうこと
これでは社会全体が発展しない
自由主義市場でも共産主義でも
能力のある人が報酬に関わらず最大限働けば
結果は同じようになるはずである
しかしどちらの場合も
人間の能力を最大限に発揮する仕組みにはなっていないのだ
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愚かなことを言うようだが
能力のある人も、そうでない人と同じように汗をかく、その心がけだけで
社会は制度によらず、よいものになる
大きな政府だと能力のある人が怠ける
小さな政府だと能力のある人が汗をかかずに儲ける
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そう考えると、頑張ればとても儲かる、しかし再分配の仕組みはかなりきつい、
と設定したいわけだが、諸外国の制度とのかねあいもある
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たとえばのはなし
イチローに打率350なら10億円、
200本なら15億円、
首位打者なら20億円、
4割なら100億円とか設定すれば
4割を目指してイチローさんは今の打撃スタイルを変更していただろうか
もっと4球を選んでいただろうか
あるいはそんなことには関係なく進んだだろうか
制度設計とはそういうことだ
そして100億円のうち90億円は税金にしてもいいのだろうと思う
社会貢献をして気分がいいしそんなに使えるわけでもないし
(と思うのは、貧乏人の考えなんだろう。)
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制度設計として
市場メカニズム、民主主義、マスメディア、分配システム、徴税、軍隊、徴兵、教育、医療、土地制度、など
NHKの民主主義に関してのルポでエジプトを報道したものがあった
エジプトでは選挙がでたらめで機能していない
テレビキャスターが言うには、取材に言ったら投票所に人が来ていない、
それなのに放送では投票所は大にぎわいで関心が高く投票率も高いと読み上げる
自分が嘘をついて、政府の広告をしていると感じて、活動を始めた
「われわれは見ている」という民間団体
広告会社の人が言うには
政権政党の広告を頼まれたが全く現実と違う宣伝でいやになった
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制度設計に関して画期的な発案があればいいのにと思う
個人的には人間の努力の量を客観的に測定する方法を開発して
その努力の量に比例して報酬を与えるような制度を設計したい
汗はたとえとしてはいいのだが
汗っかきがいるし冷や汗も出るしでうまくない