これから先、自分は一体何を求めて生きて行ったらいいのだろうと
途方にくれる感覚はないではない
ただ忙しいだけの日々があれば
その先のことは忘れていられる
しかし一度思い始めてしまうと
答えのない問いなので厄介である
ーー
人間の脳の回路の原則から言えば
何かするには報酬回路が活性化しなければならないのだろう
意欲の回路は報酬回路と重なり合っているはずだ
人間の理想とか道徳とかは
仮想の報酬系とリンクしているだろう
即時的な報酬を我慢して
未来の報酬を想定しそれが報われる
その経験が積み重なると
もっと未来の報酬を想定する
それが理想とか正義とか友愛とか、そんなものになる
未来の理想ならばどれだけ大きく空想してもいいはずで
大きいほど途方も無い報酬になる
それは共同体の中で共有される必要もない
ただ個人的に空想して自分の動機にすればいい
そう考えてみるとすべての夢が虚しい
ーーーーー
人生を生きるにあたり
何をどのような手順でどのくらいやればどのくらいの結果が発生するか
おおむね想定できるようになる
習熟すると現実に実行することはそれほど重要ではなくなる
人間はむしろ予想不可能な、可能性の薄い、しかし実現すれば報酬の大きい賭けを好むようになる
不思議なものだ
子孫のためにならむしろ確実な報酬を確保しておくだろう
自分のためならば生活さえ出来ればあとは同じなのだから賭けをしたいと思うようになる