転職を阻む壁

たとえばぼくは35歳なんですが、いまからどこかの銀行に入ったとしましょう。大卒後、ぼくは13年なので、下手をすると(労使間の協約次第では)大卒13年目の人の給料を払わなきゃいけない。そうすると、1年目から1000万円払わなきゃならないかも知れない。これでは雇うわけがない。この年齢給制度が、一度フリーターになった人の再就職や他業種からの転職を阻んでいます。
日本の労働環境の問題を集約すると、「運よく正社員になった人が、生産性よりも高い給料をもらっていて、そのしわよせとして採用抑制や非正規社員の不遇を生んでいる」となるでしょう。ところが、正社員限定ではありますが、いったん企業に入社した人は強力に保護されていて、クビを切ったり、急激な待遇の低下もできない。
 生活を守るんだからいいじゃないか、と思うかも知れません。しかし、少なくとも経営側から見て「これはまずい」という人を解雇することはできないといけないでしょう。
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このあたりが転職を阻む壁だという
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最大の問題は、企業間で人が動かないことです。たとえば、一流大学を出て一流企業に入っても、その会社が自分に合わないことはありますよね。そんなところで仕事をするのはキツい。できればやめたい。
 でも、ほとんどの人はそこで立ち止まることになる。女房もいるし、子供もいるし、移ると大幅に生涯所得が下がってしまう。となると、「まったく合ってない」と、自分も会社も思っているのに、その会社に居つづけてしまう。