久しぶりに一般大衆に会った

後輩がいて、久しぶりに一般大衆に会ったと話していた

彼は学部が違うけれど大学の後輩で
中高一貫の教育、そして大学、情報科学をやっていたのでというかのどうかわからないが
IBMにはいって、今ではコンピュータ言語の研究をしている
よく分からないが未来版のC言語とかそんなものを作る仕事らしい
NTTの人工知能研究者とかこの人とか、現代ではかなり高度に知的な専門職
このようなキャリアコースだと
中学生の頃から高度に選抜された人間としか話さなくなる
ずっと家族がいたし結婚してからは妻がいるし
その人たちが世間とのインターフェイスになってくれて
間接的に用を足せる
研究所の中では偉くなってますます余計な他人と話すことはなくなった
人事管理があるけれど形だけ
この人は給料がすごくいいので
たしかにこの人の時給を計算するとほぼどんなことも
他人にお金を払って依頼した方が合理的なのだ
それに仕事でやりたいことはいくらでもあるらしくて
しばらく休みたいとか何かに逃避したいということもなくて
いつもこつこつ研究室と自宅で突貫工事しているらしい
その人が地域の自治会の会合に出たという
奥さんが都合がつかなくて、彼もうっかり、出てみようかなんて言ったらしい
彼にとっては小学校の時以来、一般大衆とふれあう機会だった
そしてあの人たち、もう60とか過ぎているのに小学生以下だねとの感想
やっぱり私には世間は無理だわと語る
ーー
人間の合理性を抽出して
それを人工言語として構成して人間的でありさらに人間以上のものであるように作っていく
その場合の人間の脳というのは自分の脳だと痛感した
どう考えてもあの人たちの脳じゃない
人間の脳というものは実に様々な程度に様々な部分が破壊されているようで
これは治療するとなると大変なことだと実際思う
プログラムが壊れているのを治療するのも大変なのだけれど
相手は人間だからもう途方もなく大変だろうと同情された
あちこちバグだらけ 基本設計も建て増し建て増しで無理があるし
いかんねえ、とのこと
人工知能は脳とか知性の仕組みがどうなっているのかを考え直するきっかけになるので
我々にとっても有益なのだが
地域住民の実質程度は彼が体験した小学校以下だとは
ーー
彼の子供は
自分は親ほど才能がないと自認しているのだが
(まあ、それはそうだわ、お父さんは奇跡の部類だ)
アメリカで弁護士をやろうかとか言って
東大を卒業後アメリカで何かしているらしい
昔父親に子供ってああいうもんですかねといろいろと話
自分の子供は随分知的に劣性だと自分と比較して思ったらしいが
我々から見れば何の心配もいらない秀才君
彼はある意味、世間を知らない幸せ君なのだ