キャバ嬢事情

<結局は自惚れが生んだ贅沢な自己満足でしかない>
 キャバクラ食物連鎖最下層の男たちから見ると、実に憎いのが、イケメン、金持ち、そしてイケメンで金持ちという許されざる者たちだ。
 人生余裕で勝ったかに思える彼らモテ男たちだが、どっこい、それはそれで病理を抱えている様子である。例えば彼、外車のディーラーで年収は1500万円という、小平茂樹さん(仮名・31歳)。アコギなこともアレコレしているので、堅気の女の子には大層警戒される。必然的に遊ぶとなるとキャバクラに来るそう。まあ顔はそこそこだが、いかにも金が掛かったトータルコーディネートからは、お金のステキな香りがプンプン。もちろんキャバクラではモテまくりだ。しかし、彼は全然楽しくなさそうだ。
 「実際モテます。でも寄って来るのは結局金目当ての女ばっかり。アレ買って、コレ買ってですよ。キャバで遊んでおいてこんなこと言うのもなんだけど、貢がれる額で自分の価値を計ってる女っていうのが、浅ましく見えて来る瞬間がありますね。好きという気持ちは結局湧かない。自分に惚れてくれてるとは思えないんだよね」
 どうしても、「金がなかったら相手にしないくせに…」という部分から抜け出せない。そんな心持ちは態度に出るのか、結局お金目当ての女の子しか寄って来ないという悪循環。
 「本当にいいなと思う子にはフラれますよ。俺の態度というか、存在が気に食わないみたいで、“金で落ちるとでも思ってんの”なんて言われる。これ、落ち込みますよ」
 金持ちになったら一度こういう悩みを持ってみたいと思うが、本人はそれはそれで苦悩しているようだ。
 またルックスがいい男もそれなりに悩んでいる。中島大輔さん(仮名・29歳)、ジャニーズ系のイケメンだが、それが逆にクビを締めている様子。
 「付き合うと気持ちは一途な方だけど、浮気とかたまにしちゃって、それがバレてフラれるパターン。浮気しないって誓うんだけど、女の子の方から寄って来るのを拒み続けるのって案外キツイよ。甘いもんに囲まれてダイエットしてるのと同じだと思う。常に誘惑が多いから」
 目の前にヤレる可愛い子がゴロゴロしているのに、常にぐっと堪えて続けるというのも酷なことだ。さらには、キャバで知り合った彼女の場合、相手を信用できないという。
 <モテない男がキャバ嬢のハートを掴む幸せ>
 「顔のいい男なんて俺の他にもゴマンといるし、キャバ嬢だから毎日沢山出会いはある。俺とこんなに簡単にくっついちゃったんだから、他に好みの男が現れたらそっち行くかもしれないとか、リアルに想像できるんだよね。顔や金じゃなく、客を好きになった子なら信用できるけど…俺の場合多分違うからさ」
 金もあってイケメンという最強コンボの場合は…。
 「すぐに落ちるから飽きるのも早いかな」
 キャバ嬢捕食の肉食系の男は、ゲームメーカー成金の佐藤晃一さん(仮名・38歳)。
某有名ゲームメーカーの創設メンバーだ。
 「自分にとってキャバクラはゲーム機で、お姉ちゃんはゲームソフト。中毒ですよ。ゲーム脳ならぬキャバクラ脳。離婚もされてますから(笑)」
 なまじ金も時間もあるので、お店に日参してのプレゼント攻勢も可能。その上ツラもいいのでそこそこの労力で落ちてしまう。どこかに不満足感が残りさらなる高揚感を求めてしまう。かといって、銀座の高級クラブはちょっと違うそう。
 「キャバがプレステなら、オーママがいるような店はファミコンって感じかな。古い」
 そんな彼氏、難易度を求める余りなのか、最近指名嬢のセレクトがオカシクなって来ている。
 「前はナンバー1とか、売れっ子の可愛い子を普通に狙ってたけど、最近は落ちなさそうな子を探してしまう。いるでしょう、プライドだけは高い女って。気が強くてエロ親父に厳しい。会社ならセクハラに目くじら立てて騒ぎまくるOLみたいな子。そういう子を狙っちゃうんだな」
 まあ、ブスキャバ嬢ほど、難易度マックスなんて説もありますからねえ。
 こうしてみると、モテない男がキャバ嬢のハートを掴む時、それが一番幸せな瞬間といえそうだ。