浅田次郎「ま、いっか。」

『選択肢が多すぎて一途な人生をなかなか発見できぬというのは、やはり不幸というほかはない。


 才能を発揮するべき職業を選んでいるうちに、才能を発揮するべき時間が失われてしまう。

 磨きもせぬのに輝く才能などはありえないから、大切な時間を空費してしまえば、はなからないに等しい。 

一方、才能の有無にはさほど関係なく、一途な情熱は石ころを宝石に変える場合もある。』