法務省は12日、殺人や強盗など重大犯罪者の実態と処遇について初めて特集を組んだ2010年版「犯罪白書」を公表した。
それによると、強盗と強姦罪に問われ、満期釈放となった人のうち56%が、10年以内に再犯に及んでいる実態が明らかになった。
また、09年に検挙された人のうち、再犯者の占める割合が42・2%と13年連続で増加しており、再犯防止に向けた取り組みの重要性が改めて浮き彫りになった。
特集は、裁判員制度で重大犯罪の裁判に国民が参加することになったことを踏まえ、法務総合研究所が担当した。殺人、傷害致死、強盗、強姦、放火の五つの罪で2000年に出所した1021人を対象に記録を追跡した。それによると、強盗で服役した人、強姦で服役した人は、いずれも39%が出所後10年以内に何らかの罪に問われ、禁固以上の刑が確定していた。性犯罪の前科のある強姦罪の出所者のうち、38%は再び性犯罪を犯していた。
満期釈放者と仮釈放者の再犯率を比べると、仮釈放者の再犯率は、強盗罪で34%、強姦罪で32%だったのに対し、満期釈放者ではいずれも56%と大きく上回っていた。白書は「満期釈放者に対しても、保護観察による指導監督・援護の必要性が高い」としている。
(2010年11月12日14時09分 読売新聞)