サイモン・バロン=コーエンは、心を読むためのメカニズムとして
意図検出器(Intentionality Detector:ID)
視線検出器(Eye-Direction Detector:EDD)
注意共有の機構(Shared-Attention Mechanism:SAM)
心の理論の機構(Theory-of-Mind Mechanism:ToMM)
という4つの機構を提案している。
<ID>・・・物事から意図や欲求を読み取る。(9ヶ月ごろまでに発達。)
<EDD>・・・目に似た刺激を検出し、視線がどこを向き、何を指しているのかを読み取る。(生後まもなく。)
<SAM>・・・それらを統合して、行為者と対象と自己の間に構築されている関係を理解する。(三項関係の理解:定型発達児では1歳ごろに発達。)
<ToMM>・・・それを認識可能な“心の状態”として翻訳するという機能。(定型発達児では3、4歳で発達。)
そして、自閉症者は、IDやEDDを正常に持っていながら、大半はSAM、そして少なくともToMMに障害を持っていると結論付けている。
EDDは、主体者と標的の関係を理解するために必要なもの。
IDは、物体や生物を、それ自身の持つ欲求や目的などの心的状態と関連付けて理解するためのもの。
そしてSAMは、他者と対象、そして自分といった三項関係を理解するための機構であり、ToMM(心の理論)へのインプットとして必要不可欠なものである。
IDだけでは二項関係の理解のみとなり、SAMによって初めて、対象を通じて、自分と他者の違いを推論に考慮する必要性が出てくる