スラッシュ小説とは女性が女性のために描く、男性戦士同士の愛の物語。
なぜそんな物語を女が女のために書き、女が読むかが問題である。
つまりはそのような関係が女性の恋愛感情の基本ということだ。
男性の恋愛感情の基本はその場限りの快楽。
これは女性ホルモンと男性ホルモンと言い換えたほうがいいかもしれない。
男性の形をしていても女性ホルモンに溢れている人もいるし
女性の形をしていても男性ホルモンが相対的に高い人もいるわけだ
あるいは女性ホルモンや男性ホルモンそのものではなくそれらの誘導体が多いという人もいるだろう
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ホモ同士の話です。日本では「やおい」という、やはり男が男を好きになって、最後には肛門セックスをとげるというストリーです。女は肛門セックスにいたく感じ入るのかと思いきや、そうでもなく、そういった挿入場面はなくてもいいらしいのです。
「ベストセラーになるロマンス小説では、優しく感受性の豊かな男が主人公になっていることはまずない。女性読者は力強く自信にあふれた男たちを好み、彼らが最終的にヒロインに対する愛によってのみその手中に収まることを夢見るからである」
要するに元気な男の遺伝子は元気な子供に引き継がれ、存続の可能性が高いと思うから、そんな男とセックスしたがるのです。
寄生虫や病原菌に強い男
何万年と続いた狩猟生活の原風景がいまだに女の本能に巣食っています。この厳しい生活環境ではチビではマンモスに踏み潰されます。長身で槍をマンモスの急所に突き立てる強固な筋力の持ち主でないと、つまり偉大な「戦士」でないと、なかなか生きてはいけません。
「人間の女が相手を選ぼうとする際,どんな心理をもとにして行うよう適応を遂げているかと考えるなら、カネや社会的地位や正式な教育などは、人間の進化の歴史のうちの圧倒的な部分において存在していなかったということをよく覚えておくべきだ」
スラッシュ小説は、男の戦士に男の戦士が友情から進展して肛門セックスまでするほど緊密な関係になる物語で、なぜこれが今の女性に受け入れられているかというと、まず第一にロマンス小説のヒロインのように戦士たちの妻や恋人になるよりは、同じ戦士として戦うことが好きな「おてんば娘」が増えたことがあげられます。
チアリーダーになるよりは自分が柔道の選手になるわけです。
第二に、ロマンス小説では男を手に入れたらそこでめでたしで終わるのですが、手に入れた後の長い期間が実際は大問題なのです。女たちは本能的に、「強い性的な情熱とロマンティックな愛は束の間しか続かず、危なっかしい基盤の上に長期の配偶関係が築かれることになる」ということをよく知っています。
その点スラッシュ小説の要諦は「主人公たちの貞節は互いの肉体に対する性的な情熱に基づくものではなく、トシを取っても、新しい肉体への誘惑があったからといって、そう簡単に関係が壊れたりしない」とあるので、女たちはこれらを読むと安心するのかもしれません。
現代においては、単純に、住宅ローンと子どもの養育費、離婚で発生する煩わしさと金銭的負担が安心の担保といったところか。