リストラに怯えるJALスッチーの悲鳴
プレジデント 2010年7.5号
「機材や路線のダウンサイジングが終わる9月頃にはいよいよ整理解雇という噂も出ている。私もいつクビになるかわからない状態なんです」
キーワード: JAL 人事・人材・雇用 女性・OL・主婦 収入・給料 経営・組織 再建・再興 結婚
「30代後半の頃は、年収1000万円弱くらいもらっていた。でも今は、本当に日々、お給料が下がるばかり」
そう語るのは、1月に経営破綻、会社更生法適用となった日本航空(JAL)のベテラン客室乗務員、水沢絵里子さん(仮名、42歳)である。昨年の年収は約700万円。今年末までに、約1万6000人の人員削減が発表されており、5月末までに第一陣の約3610人が退職したと報道された。
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水沢絵里子(仮名)42歳 客室乗務員●整理解雇に怯えつつ日々フライトをこなす。「50代の人は4年前の希望退職に応募しておけば退職金が5倍ほど違ったと後悔している」。(※写真と本文は関係ありません)
「35歳以上の社員に面談が行われましたが、決断までにそれこそ1~2週間しかなく、日々辞めるか迷っている人もたくさんいました。でも私は独身ですし、元自営業で年金の少ない両親を養っているので残るしかないんです」
リクルートの再就職案内が渡され、退職を決めた人は4月末に説明会が行われたが、同年代で辞めた同僚の話によると「タクシーの運転手を勧められた」といった話ばかりで、本当に望むような職は見つかりそうにないという。
絵里子さんは、20代の頃に短い結婚生活を経験した。元夫は年収1000万円超のエリートだったが、絵里子さんの両親とうまくやってくれなかったため離婚した。両親も「あんな人とは離婚してよかった」というスタンスだったという。今は都内の賃貸マンションに一人暮らしだ。家賃は15万円、駐車場込みで18万円ほど払っている。加えて、郊外に住む両親に、生活費として月10万円程度を渡しているという。
「以前は、月収が手取りで50万円を超えることもありましたが、今は35万円くらい。あてにしていたボーナスも昨年冬からゼロになりましたし、お金はまったく手元に残りません」
収入が減っても、親への仕送りの額は減らさずやってきた。特に贅沢な暮らしはしないという絵里子さんには、若い頃から貯めたお金が約2000万円あり今はそれを少しずつ切り崩す毎日だ。特に引っ越しなどは考えていないという。
「とにかく不規則な仕事なので都心に住んでいないと不便だし、親に何かあったらと考えると、車を手放すわけにもいきません。育ててくれた両親にもそれなりの生活はさせてあげたいですし……」
絵里子さんが入社したのは、バブル華やかなりし頃。でも、先輩の話によると、「実は、その頃から会社は傾きはじめていた」という。そんな彼女たちも今はみな、リストラの恐怖に脅えている。
「この後、6月に1000人規模の早期特別退職があり、機材や路線のダウンサイジングが終わる9月頃にはいよいよ整理解雇という噂も出ている。私もいつクビになるかわからない状態なんです」
孤独死などのニュースを見る度に不安になるが、仲間の独身CAの間では「寝てる間に死ねたら楽だよね」などという冗談を言い合うこともあるという。
何か副業でも探したいと思う一方で、絵里子さんは、まずは婚活をしたいという。先行きが不安な今は、どうしても安定した家庭が欲しい。自分が病気になったり、両親が要介護になったりしたらと思うと本当に不安になる。
「会社が安定していた頃は、別にずっと独身でもと思っていた。でも今は、神様がそろそろ家庭を持つことを考えなさい、と言っている時期なのかなと思う」
最初の結婚は、自分が幸せになることばかりを考えていたという絵里子さん。離婚してからも何人かとおつきあいしたが、つねに「少し待てば、もっと条件のいい人が現れるのでは」という気持ちで再婚に踏み切れなかった。でも今は、「相手を幸せにしてあげなければ」という気持ちが生まれている。
「でも年収は最低1000万円はないと。私と両親くらい養ってやるという気概のある男性であれば、もう条件は問いません」
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すごい条件