この胸の高鳴りとか
あのすばらしい愛をもう一度とか
いうのだけれど
その内容に少なくとも二つあると今の私なら分る
プレとトランスがあるのだ
薔薇を見たときにも心は高鳴り
不思議な感覚に襲われる
でも現実の唯一の異性に感じるというのは
それとは別の次元のことなんです
結構よさそうな女性たちと
その唯一の女性との決定的な違いが
何といっても
決定的すぎる
結構よさそうな女性たちは
程々に甘美で誘惑の唇をプリプリさせ
瞳は刺激的で
ここでは言えないような身体的諸特徴を呈し
非常にぬるぬるとなり
心理的にも非常に従順、利発、機知に富み、あくまでも肯定的で
女性ホルモンのオーラを全身隅々にまで充満させているもので
そんな人達は実はたくさんいるものだ
しかし唯一の人は本当に唯一の人で
私にとって母親が一人であることよりもさらに明白に唯一の人である
と、ここまで言い切る私であるが
拒絶されたときの絶望が怖すぎて何も言えないのだった
多分墓場まで抱いていくだろう
殉じるに値する唯一のものである