(患者を生きる:1185)目 心と視覚:6 情報編 不安取り除き、ストレス減らす
目の症状と心は密接に関係する。
目の痛みや違和感を訴えて眼科を受診した人で、うつなどが見つかる人が増えている。
井上眼科病院(東京都千代田区)の若倉雅登院長らは、2006年4月から3年間に診察した患者のうち、精神神経科やメンタルクリニックに紹介した30人を追跡調査した。
受診時の症状としては、目の痛み、目が開かない、違和感がある、ピントがあわない、霧がかかったようで見づらい、などが多く、紹介先での診断は、原因不明の痛みが続く疼痛(とうつう)性障害が13人、双極性障害(そううつ病)とうつが合わせて7人。統合失調症もあった。精神神経科の専門医と協力しながら、抗不安薬を処方した例もあった。
「本人は目の症状を強く自覚していて精神神経科や心療内科にかかることが少ない。過剰な不安がさらに症状を悪化させている場合も少なくなく、要注意」と若倉医師はいう。
心身医学的なとらえ方を眼科にも広げようと、杏林大眼科非常勤講師の気賀沢一輝(きがさわかずてる)医師や若倉医師らが中心となり、07年に「心療眼科研究会」が発足した。以来、講演や症例検討を中心とした研究会を年1回開いていて、09年は眼科や精神科の医師、看護師、視能訓練士ら約140人が参加した。
治療では、脳腫瘍(しゅよう)や脳梗塞(こうそく)など他の病気がないこと、眼底検査や視力検査で器質的な問題がないことを確認したうえで、心理的要因が絡んでいないかどうかを判断し、取り除いていく。目の症状だけでなく、心と体の訴えを総合的に受け止めることが重要だという。
最近、子どもに増えているのが、心因性の視力低下だ。慶応大の小口芳久(おぐちよしひさ)名誉教授(眼科)によると、小学生が大半で、男児より女児に多く、最近は低年齢化の傾向がある。
76~81年に受診した106人を対象とした調査では、約半数が「自覚はないが、学校の検診で視力低下を指摘された」と答えた。ストレスの原因は、「学校」が3割以上と最も多く、「学校と家庭」「家庭」がそれぞれ2割前後。原因がわからないものもあった。親に甘えたい気持ちを我慢していることがストレスになっている場合もある。
「一過性で自然に治ることが多く、過度の心配は逆効果。ただ、本人はなかなか気づきにくく、放っておくと視力が改善しにくい場合もあるので、周囲が気を配ってほしい」と小口名誉教授は話す。
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こういう話題ではかならず井上眼科病院(東京都千代田区)ですね。