「ソラリスの陽のもとに」で有名なスタニスワフ・レムの作品である。
1978年の翻訳で昔風の小さな活字で印刷してある。
内容は、推理小説というよりは、不可解な事象に直面した時に、
人間の理性はどのように解釈・推理・意味づけをするかという問題のようだ。
科学的、宗教的、精神病理学的、などの諸要素を含み、
解決に至らない限り、諸要素は複雑に混合し、
理性の内部で妥協すらも生じる。
推理する主体の側がほとんど精神病的な事態に至ることにもなる。
しかしこの人、ほんとにすごいです。
事件は、死人が生き返り動くらしいという、聖書的な事件を題材としている。
事件発生の地域、時間、気象条件、その他の諸要因を、
統計的に解釈する人、メカニズムとして解釈する人、免疫学的に解釈する人、
などを登場させ、それぞれの場面で、唸らせる。
スタニスワフ・レムには架空の本に寄せた序文集、架空の本を批評した評論集などもあり、昔手に取った覚えがある。