わかりにくい用語をわかりやすく解説する行為は
初心者にとっては必要なものだけれど
単純なことでもない
用語や概念には背景があり歴史がある
誰がどのような文脈で語っているかで随分意味が違う
それを切り捨てて
とりあえず一時的に意味の一部を理解しようというのならば
それはそれでいいが
それで全部でもないと留保をつけておきたいものだ
精密には文献学者がいて
たとえばフロイトの投影性同一視は最初に使われたのがどの文献でどのような意味でとか
メルロポンティの現象学はどのような変遷を辿ったのかとか議論されていて
ひとつの用語自体が
歴史を持ち変化と幅を持つ多面体である
誰がいつどのような場面で言ったのかを特定しないと意味が決まらないし
その意味を発見することが仕事なのだと言われると
なかなかお付き合いも難しい
用語自体新しい発見を待っているのだから定義それ自体が発見的行為なのだ