感冒の漢方薬

ひき始め(第1病日)の方で悪寒(+)発汗(-)なら葛根湯(No.1)、


悪寒(+)発汗(+)なら桂枝湯(No.45)、

悪寒(+)発汗(-)だけど虚弱者には麻黄ブシ細辛湯(No.127)、

子供のインフルエンザには麻黄湯(No.27)

が教科書に書かれているような処方だと思います。

第1病日で治まらずにこじれた場合及びその状態で来院された場合は、生薬の「柴胡」が入った処方を使います(小柴胡湯(No.9)が有名です)。私は柴胡桂枝湯(No.10)をよく使いますが、効かない症例もあります。

長引いた場合は補中益気湯(No.41)を使います。

葛根湯は肩から上の疼痛によく使いますが、喉の痛みには効きません。

また、構成生薬「麻黄」はエフェドリン等の成分が交感神経刺激作用、中枢神経興奮作用(私は夜の中途半端な時間に葛根湯を内服して眠れなかった経験があります)を持っていますので、狭心症・心筋梗塞患者への投与は禁忌で、高血圧患者等には慎重投与です。虚弱な高齢者も避けた方が無難だと思います。また、胃腸障害を起こし易いですので、胃腸の弱い方には使いにくいです。エフェドリンの吸収はpHが上がると促進されるので、食前内服が無難のようです。

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いわゆる感冒であれば、お年寄りや虚弱な方の寒気、頭痛、薄い鼻水があり、かつ汗ばむ感じだと桂枝湯を処方します。もっとザックリ言えば、鼻水や汗ばみがなくても年寄りが「風邪です」といえば発熱がない限り基本的に桂枝湯を処方します。(ただ年寄りの風邪には結構UTIも含まれますので検尿はすべき!) 

また年配でも頑丈系で無汗でダルそうなら葛根湯を出します。葛(根)は発汗作用があり熱を取り去ります。また葛根湯に麻黄には交感神経を刺激するエフェドリンが含まれています。ずばり申しますとダルい感冒ならシャキッとさせる目的で葛根湯を選択します。(麻黄湯は、また違う技があります。) 

私自身PLを服用するとPLに含まれる抗ヒスタミン成分でで眠気とダルさが出ますので、感冒でダルいのかPLでダルいのか判らなくなるので私自身PLを服用しません。またPLに含まれる解熱剤の成分も気に入りません。感冒イコール発熱とは限らないし、熱の出ない感冒も多々あります。 

そもそも発熱は感染時の一番最初の生体防御の反応です。発熱によりウイルスなどの病原体の活動を減弱させるので安易に当初より解熱剤が含まれているPLは嫌いです。ですので発熱時は、あくまでも頓服で成人ならブルフェン(イブプロフェン)と二フラン(プラノプロフェン)です。 

これらは小児でも使用可能です。ただ乳幼児であればアセトアミノフェンしか基本的に使用すべきではないと考えています。 

それより個人的に感冒時に一番大事なことは安静であり蛋白質の摂取です。感染時の生体防御の第一ステージは発熱による病原体の力の減弱です。2ndステージは抗体産生です。だけど、この時のポカリや粥だけでは抗体産生に必要なアミノ酸が不足します。 

ですので感冒てか上気道を中心とした感染症は意外にUTIに比べ食欲に影響を与えますので、抗体産生を促すべき蛋白質を積極的に摂るように指導しないとダメやだ思います。発熱反応に対してはエネルギー消費にすぐに反応でくるようグルコース、抗体産生にはアミノ酸です。