Ghost in the Machine

カレンの実践IT英語というページに次の記事があった。

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欧米ではしばし、システムのバグのことを“Ghost in the Machine”(機械の中の幽霊)と表現します。

例えば、2005年に起きたジェイコム株大量誤発注事件を『Newsweek』は次のタイトルで報道しました。

Ghosts in the Machine: World-renowned for its hardware, Japan has a software problem. And the bugs are starting to bite.
(機械内のゴースト達:ハードウェアで世界的に有名な日本、ソフトウェア問題に悩まされる。バグが噛み付き始めたのだ。)

今では、このようにシステム系のバグのことを意味するようになりましたが、元は Arthur Koestler が1967年に出版した本『Ghost in the Machine』から取られているのでしょう。同書では、人間の脳は怒りや憎しみなどを司る原始的な部分が残っており、しばしそれが理性を抑圧して私たちの行動に反映されてしまうという説が論じられているようです。その原始的な部分がゴーストという訳ですね。

さらに元を辿ると、デカルトの心/身体の2元論を揶揄するのに Gilbert Ryle が初めて“Ghost in the Machine”という言葉を使ったのも有名です。

因みに、“Ghost in the Machine”というフレーズは目を凝らすと色々なところで使われています。

私が大好きな80年代の代表的ロックバンド Police のアルバムも同名ですし、海外でヒットした日本アニメの傑作「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」のタイトルも“Ghost in the Machine”からインスピレーションを得たものと思われます。

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この文脈ではマシンは合理的で合目的的で整合性のある部分で、
そうでない原始的な部分をゴーストと呼ぶということのようで、
何ともすっきりした区分けである

それで行くとリアルはゴーストを大量に含み
バーチャルはリアルの中から合理的な部分だけを切り分けたマシンと
割り振ってもいいかもしれない

だからバーチャルの王国は理性には住み心地がいいはずだ

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こうして言葉を操っている場合には
合理性という暗黙のコードがあるのだが
現実の人間関係にはそれを超えるいくつもの原則があるようで
それらをすべて非合理的・原始的とくくるあたりが
いかにも英語らしい