17日朝日朝刊の書評欄にて紹介があった。
コーエンは分析的マルクス主義の人。
マルクス主義における史的唯物論とは、
人間の上部構造(ものの考え方、感じ方)は、
下部構造(生産関係、物質的基盤、社会的諸条件)によって規定されるとする考え方。
マルクス主義における搾取とは、資本家が、労働せずに、労働者が生産した価値の一部をかすめ取り、儲けること。
分析的マルクス主義とは、それまでのマルクス主義が、哲学的で、弁証法とかヘーゲルとか言っていたのを転換して、数理的手法を用いて、つまり、さらに科学的に、搾取や唯物史観について研究する。
コーエンには唯物史観に関して「カール・マルクスの歴史理論」、リバタリアニズム(自由至上主義)との対決を論じた「自己所有権・自由・平等」の著作がある。
さて、そのような学問を修めて、立派な人間になったとしよう。
勉強した結果、多少収入が得られるのはいいのかもしれない。
しかし理論によれば、それは、搾取なのだ。
だって、毎日汗を流しているのは、インテリも豆腐屋さんも同じなんだから、
多少の知識があったからといって、豆腐屋さんの何倍も儲けるのはおかしいのだ。
多少の知識と人的ネットワークを利用して、未公開株を使って儲けたり、経済動向の分析を通じて、マーケットで儲けたり、そんなことはどうなのかということだ。
儲けた本人にすれば、「悔しかったら自分もやればいい」と、自民党議員のようなようなことを、本心では考えているかもしれない。
難しい問題だ。
人間に絶望している私としては、沈黙するばかりだ。