血流と脳波読み取り、イメージするだけでロボット動く
2009年4月1日 提供:読売新聞
頭の中で動作をイメージしただけで、人型ロボットの手足などを動かすことに、国際電気通信基礎技術研究所(ATR)とホンダなどの研究チームが成功した。
脳の特定の領域で変化する血流や脳波をヘルメットのように頭にかぶった装置で読み取り、その信号をロボットに伝える仕組みだ。ホンダが開発した二足歩行ロボット「ASIMO(アシモ)」を使った実験では、イメージ通りに手足を動かした動作の精度は90%に上った。
欧米でも研究が進むが、成功率は60%台という。ただ、今回の成果は両腕や足の上げ下げのほか、話す時の舌の動きをイメージして発声させたことのみ。脳の動きに反応してロボットが動くまで7秒ほどかかり、読み取り装置は重さ300キロ・グラム、大きさも小型のタンスほどもある。
チームは、さらに複雑な動きを可能にする基礎実験を続け、携帯可能な読み取り装置の開発も目指している。
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このニュースは私にとって難しい意味を持つと感じている。
普通に考えれば、脳の一部で「意思」が発生して、それが運動野に伝達されて
運動が起こる。
だから、意思の発生部または意思の伝達部を読み取って、
それを外部につないで運動器につなげばいいわけだ。
しかし私は意思というものの存在を別の様態で考えているので、
上のようには考えない。
人間は感覚刺激を感受し、それを加工して、運動出力に変換している。
脳はただそれだけのものである。
意思が存在すると思われるのは、
感覚刺激から加工、出力の過程で、
副次路線が作られて、あたかも、独自に意思が発生したかのように
錯覚させるメカニズムがあるだけであって、
極端な話、そのメカニズムが完全に壊れても、
生存には不利ではあるものの、生存は不可能ではない。
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そのように考えている私にとって、
上の実験は何を意味しているかといえば、
意思の内容は、「手を動かす」ではなくて、
「手を動かそうと思っているけれど、実際には動かさない」という意思である。
そうでなければ、実際に足が動いてしまう。
ということは、「足を動かそうと思う」と「実際は足を動かさない」の複合刺激であるはずで、
そこのところを読み取って、動作していなければ、うまくいかないはずの実験なのである。
ところが報告ではいとも単純な書き方で、
動かそうとした意思を血流と脳波で読み取って、
運動につなげると書いてある。
私としては、その意思はどこから発生しているのかをきちんと考えれば、
そんなに簡単な話ではないだろうと考えているのだが、
どうだろう。