飲料水中のリチウムが自殺リスクを軽減
リチウムを含む水道水が自殺リスクを軽減する可能性が、日本の新しい研究によって明らかにされた。
今回の研究は、大分大学医学部神経精神医学教授の寺尾岳氏らが、広島国際大学臨床心理学教授の岩田昇氏らとともに、大分県民を対象に実施したもの。同氏らは英BBCニュースに対して、飲料水中のリチウム濃度が最も高い地域では他の地域に比べて自殺率がはるかに低かったと述べている。
英医学誌「British Journal of Psychiatry(精神医学)」5月号に掲載された今回の知見は、さらに研究を重ねる必要性のあることを示しているが、同氏らは飲料水にリチウムを加えることは提唱していない。
リチウムは双極性障害(bipolar disorder、躁うつ病)など特定の気分障害の治療に用いられるが、別の専門家は「高用量のリチウムは重大かつ不快な副作用をもたらし、有毒になることもあり得る。少量であっても飲料水に加えることについては慎重に取り扱うべきであり、徹底的に研究すべきである」と述べている。
[2009年5月1日/HealthDayNews]