古いうつと新しいうつQA

考えてみれば、自分の苦しみが「うつ」という名前であろうと何という名前であろうと

いずれにしてもなるべく早く苦しみから解放されたい、
それだけなのであって、分類がどうのとか、名付け方がどうのとかは、あまり関係がないというのも
よく分かる。
以下、専門家でない人の感想から。
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Q.発想の原点として、いわゆる「医学モデル」はないでしょうか

A.根本に「医学モデル」があることは確実で、私にも根強くある。
しかし、それ以外に、確かさはないとも感じる。
実際に患者さんと治療者が接する場面ではこれだけではうまくいかないと思う。
しかし疾患概念としてどうなのか、疾患メカニズムとしてどうなのかについては、やはり、医学モデルがいいと思う。
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Q.『(疾病の定義などとは)別に、今苦しんでいる人は、「意味」を知りたいのです。
どんなことにも意味があるはずです。
断片的ではなく、イメージやストーリーを確かめたいのです。手ごたえを求めています。自分の立ち位置が確認できないと不安だからです。』
A.これについてはどうでしょうか。
ガンや脳梗塞について「意味」を知りたいでしょうか。
精神領域については特別でしょうか。
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Q.「進化」「退化」という言葉のなかに、価値観の混入はないでしょうか。 
また、「新しいうつ」概念を主張する際に、「古いうつ」概念の捨象はないでしょうか。
A.価値観を主張しています。普通は「新しい」ものがより正しくてより便利なので、事情を知らなければ、そのように受け取ると思います。一部のアメリカ人は「新しいうつと古いうつ」さえ気にしないようです。新しいうつと古いうつを気にする人はたていてが新しいうつに批判的です。私もそうです。古いうつが「本当の」うつで、新しいうつは偽物だと主張したいわけです。それは「古いうつ病」で苦しんでいる人を守りたい気持ちでもあります。
Q.たぶん、「古いうつ」で困っているいる人たちを否定しているのではなく、「うつ」ではない新しい概念で整理しようとしているのではと思うのですが。
A.そうですね。しかしうまく整理しきれていないようにも思います。
Q.いずれにしても、定義づけがどうされようと、現在困っている人はいるわけです。時代は変化し、「うつ」に対する世間が見る目も変わってきました。誰にでも起こりうる「心の風邪」とも表現されるようになり、包み隠すのではなく、早期に医師に相談、自らの状況を説明するようになったのです。だからこそ、疾病への理解も進んだのではないでしょうか。「新しいうつ」の登場もそんなことがあったからかなとも思います。
A.誰にでも起こりうる「心の風邪」といわれ始めた時に「うつ」の意味内容が変質したわけです。