新橋の歩道ではあじさいが満開
朝起きるのがつらい
二度目の目覚ましでやっと起きる
電車が混んでいるとうんざりする
駅の看板で笑っているタレントの顔がどれもよく似ている
もうずいぶん暑いのに皆さんは黒いスーツを着ている
電車の中で健康意識の低そうな若い男が続けて咳をしている
混んだ電車では他人の耳がよく見える
ずいぶんかたちが違う
多分世界の聞こえ方もずいぶん違う
老化すると高音部の難聴が進行することは分かっている
蚊の音が老人には聞こえない
目で言っても
視力も違うし色彩も細かく調べればずいぶん違うはずだ
同じ電車に乗っていても
ずいぶんと違う感覚世界を生きているはずだ
これでは心が通じ合わなくても仕方が無いとも思える
朝ご飯の代わりにラコールを飲む
食の楽しみは全くない
おいしかった朝食の思い出は
葉山の音羽の森ホテル
メニューも良かったけれど
オレンジジュースがすてきで
窓から見える朝の海がすてきだった
そんな風に思わせてくれたのはやはり人間の要素だったのだろうと思う
あの日私は大切にしてもらった
それ以後はひとつもいいことがない
悲惨な人生でほとんど破産状態であるが
それでも生きていく
思い出があるからだ
それだけで生きられる
そんなことを思いつつ
ラコールもおいしいのだった