やや長期的には、日本の人口の減少や高齢化が消費の伸びを抑制する要因になりま
す。雑誌の取材などのついでに「長期的に人口が減る国で、内需を大きく伸ばす方法
がありますか?」という質問を受けることが時々ありますが、誠実に答えるとすれば、
「ないです」と答えるよりありません。
加えて、近年気が付くのは、30代以下の世代の人にしばしば見られる消費意欲の
萎縮です。たとえば、高級車を持つことを「格好いい」などと思わないことなどは、
商業的欲望喚起の洗脳を逃れていて爽やかでさえありますが(エコカーに乗るよりも、
自家用車など持たない方が遙かに「エコ」であり、助成金に値します!)、物欲だけ
でなく、好奇心や食欲・性欲など欲望一般までが縮退しているようで、他人事ながら
些か「気になります」(「心配」だというは僭越でしょう)。
一般に、望みや目標がかなえられないことは大きなストレスをもたらします。彼ら
は、経済の低成長や所得が伸びないことに対して慣れており、高望みを自制すること
によって自己防衛的な環境適応を果たしているのでしょう。こうした「気分」も消費
の抑制要因です。
以上、山崎元から引用
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新型うつ病の一つの特徴として
場面選択型うつ病をあげている人もいる
会社だけでうつ病、家に帰って友達と遊ぶときは普通
仕事はうつ病、旅行は元気
これは何病なのかねと先輩が首をかしげる
昔からの分かりやすいうつ病では
治療しましょうとなると毎週きちんと通うし、予定でない日でも相談に来たりする
最近の若い人の中には診断書は2ヶ月分書いてください、薬は長めに出しておいてくださいなどと言い、
診断書代を節約し、通院費を節約するためなのだけれど、
そのおかげで治療期間は長くなってしまい、結局本人は損をすると思うが、
話しても考えは変わらないようなので、
先輩がそのようにすると、
あとで傷病手当金の申請のときに通院日数が全く足りないので
治療意欲がないとみなされて困ることがあるという
実際、先輩のところには治療意欲があるとは思えない人がいるらしい
新橋ではあまり見られないのも不思議といえば不思議である
皆さんきちんと予定通りに通っている
むしろ休みたくないので是非治療してくださいという雰囲気なので
新橋はまだ昔の日本なのかも知れない
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そんなことを背景にして上記の山崎氏の文章を見ると、
「30代以下の世代の人にしばしば見られる消費意欲の萎縮」
「物欲だけでなく、好奇心や食欲・性欲など欲望一般までが縮退」
「彼らは、経済の低成長や所得が伸びないことに対して慣れており、高望みを自制することによって自己防衛的な環境適応を果たしている」
などが見えて、実に、現代の20代の人々の心理を経済面から説明しているように見える。
物欲、食欲、性欲など、世の中の経済を回している欲望が衰えていくのは
老齢化すると当然で
老齢者に必要なのは医療費と身の回りのお世話に対する家事労働への対価である
どうも若者も意識としてはそのあたりに近づいているらしい
あらかじめ高望みを自制した諦め気分にあるとすれば
出世しなくても給料が低くなっても、休みをもらってハワイに行くほうが幸せだと考えることもあるのかも知れない
そのような思考回路そのものが病気と思えて
昔の人は遊ぶときにはうつ病になって何もできないとしても、
仕事だけは何とか続けていたものだと語る先輩の頭にある古いうつ病からすれば
これは全く別の病気と見えるわけだ
しかし経済環境とかそれを土台にした価値観とか、そのあたりを含めて考えるならば、
若者たちの行動も理解できなくもないというところまでは
先輩も思っているらしい。