自治体病院、約7割が赤字経営

07年度厚労省調査/自治体病院、約7割が赤字経営 不採算部門や人件費の高さが負担に
 厚生労働省がこのほど発表した2007年度「病院経営管理指標」報告書によると、自治体立の一般病院のうち、経常利益が黒字の病院は25.1%にとどまり、約7割が赤字経営だった。一方、医療法人立の一般病院の黒字比率は71.6%で、ほかの開設主体と比べ自治体病院の経営が厳しい状況が明らかとなった。厚労省は「地域性や不採算部門を持つことに加えて、人件費割合が高いことなどが自治体病院の経営に影響しているのではないか」(医政局指導課)としている。
 同報告書は病院の経営状況などを調査し、その結果を指標として公表することで病院の経営改善の参考にすることが目的。医療機関に対して財務状況や施設概況に関するアンケート調査を実施し、医療法人795病院、公的病院607病院の計1402病院から有効回答を得た(有効回答率19.6%)。
 一般病院の黒字病院比率を開設者別に見ると、医療法人立病院が71.6%、社会保険関係団体病院が56.8%、その他公的病院が46.4%、自治体病院が25.1%で、民間病院と公的病院で大きな差が見られた。
 開設者別に見た医業利益率は、医療法人立病院が2.0%である一方、公的病院では自治体立病院がマイナス14.6%、社会保険関係団体病院がマイナス1.3%、その他公的病院がマイナス2.1%で、特に自治体病院のマイナス幅が大きかった。
収益悪化は設備投資が影響
 人件費比率は医療法人立病院が52.7%、自治体病院が63.6%。職員1人当たりの人件費は医療法人立病院の627万7000円に対し自治体病院は776万1000円で医療法人より約148万円上回っていた。自治体病院はほかの開設主体と比べても人件費の割合が高かった。
 減価償却費比率を見ると、医療法人は3.5%、自治体病院は7.4%で、自治体病院が医療法人の倍近くあった。一方、自治体病院の固定資産回転率は104.0%で医療法人(231.7%)の約半分。ほかの開設主体と比べて人件費割合が高いことや、設備投資をしている一方で固定資産回転率が低く収益を上げていないことが、自治体病院の経営に響いているとみられる。
 医療法人の収益動向を病院種別に見ると、医業利益率は一般病院と精神科病院で低下傾向が続いており、07年度は特に精神科病院の落ち込みが目立った。一般病院の赤字病院比率は2年連続で増加。ケアミックス病院と療養型病院、精神科病院の赤字病院比率は、診療報酬マイナス改定のあった06年度に増加したが、07年度には減少に転じた。