人間を観察していて
髪の毛が一体何のために生えているのかとても疑問に思うことがある
なくても別段支障はないし
寿命も違わない
お坊さんだって尼さんだっているが
むしろ清々しいくらいのものだ
それなのに煩わしい髪の毛があるのは
理由なんて考えても仕方がないけれど
あるものはあるんだから
でも一応考えると
やはり形を整えやすいからではないかと思う
必死になってジムに通ったり
ダイエットしたりしているのは
形を自分の思うとおりに整えたいからで
髪の毛については比較的コントロールしやすいのではないか
コントロールするには
かつらの方がよいと思うが若いうちからかつらにしてしまう人は多くはない
少しずつ伸びるやっかいなもの
世の中に床屋さんがどれだけいるかを見れば
どんなに気にしているかが分かる
固すぎる毛も、柔らかすぎる毛も、気になる
昔から言われているのは
その人の全体の栄養状態とかが分かるので
識別に便利とのことらしい
枝毛とか切れ毛とか白髪とかいろいろ
摂取した食料その他の履歴が髪の毛に残るので
ここ一年くらいの栄養状態を反映するのだろうと思う
ストレスでくっきりと白髪になる人は実際にいる
栄養状態は脂肪の具合でもっとよく分かると思うが
とにかくそんなことが言われる
黒くてつやつやした長い髪がさらさらとしていれば
なんとなく誇らしいらしいが
活動的とは言い難い
熱もこもるだろうし
手入れも大変だ
そこらあたりに髪の毛が散らばる
そしてその人が存在したあたりには
髪の毛が何本か残っていたりするのだ
それも場合によってはやっかいだったりする
誰の毛か、分かってしまう人もある
髪の毛は飾ると言うよりも隠す役目がある
隠して、なおかつ、飾る
たいていは思春期に気にするものだ
最近はいろいろな色とかセットの流儀とかがあって
その人の属するサブグループを推定させる手がかりになる
他人から見てどんなに変でも
自分は「わたしの好きな、あの人たちと同じなんだ」と信じていれば
いろんな髪型で自己主張ができる
髪の毛は、その人の内面を反映していて、その解釈も特に難しくないという種類のものだと思う
犬にも猫にも髪の毛を伸ばしたり切ったりということはない
人間は全身の毛が薄くなったのは分かるのだが
どうして髪の毛だけがどんどん伸びているのか
分からない
動物の毛皮よりずっと速く伸びるような気がする
そう考えると
鶏のとさかとか
クジャクのはねとか
そんなものに近いような気もする
モードの歴史の本に書いてあるビートルズと男性の長髪についても
当時は革命的と思われたのだろうが
その前の戦争の時代の反転だったと今にして思う
短いの次は長いで、その次は短いだ
人間を動物としてみた場合に
機能的ではないが
性選択に関係するらしい一部分として髪の毛がある
といった程度だろうか