努力家は目標を達成した瞬間が一番危ない

努力家は目標を達成した瞬間が一番危ない
  人がスランプになるきっかけは、個人の性格や価値観によって大きく違ってくる。例えば、身近な人が遠くに行ってしまったことが、何よりも悲しい人は、それをきっかけに大きなスランプに発展するが、知人が遠くに行っても「また会いに行けばいいさ」と考える人は、スランプにはならないだろう。
 つまり、自分がどんな性格で、どのような価値観を持っているのかを把握すれば、自分がどんな状況になるとスランプになりやすいのかが予測できる。そうした状況になるのを避けるか、なってしまったら気分転換をするなどの対処をすれば、気分の落ち込みを防げるだろう。
 以下では、性格・価値観別に、スランプに陥りやすい状況を説明していく。自分の性格や価値観がどれに当てはまるかをチェックして、スランプに陥らないように工夫してみてほしい。
■「他人に依存する人」は、喪失体験に弱い
※「他人に依存する人」はこんな人…
 ・自分がしたことを人からけなされると、結構、傷つく。
 ・人から期待されると、ついそれに応えようとしてしまう。
 ・人から嫌われて一人ぼっちになるのが怖い。
 ・自分の気持ちを貫くより、相手の顔色をうかがってしまう。
 何かと「周囲からどう見られているか」を気にするのが、このタイプである。自分の意志や考えに基づいて行動するのではなく、他人の言動によって自分の言動が左右されることが多い。
 このタイプの人がスランプに陥るのは、親しい人が離れていってしまったときや、失恋や友人とのトラブル、あるいは親しい人と死別したときなどである。医師の場合でいえば、このタイプの人で、何年か勤めてある程度の評価を得た病院から異動することになったときが危ない。
■「業績達成にこだわる人」は、重荷を降ろすとスランプになる
※「業績達成にこだわる人」はこんな人…
 ・才能のない人は、才能のある人より劣っていると思う。
 ・人から認められる仕事をしなければ、人生は無意味だと思う。
 ・仕事(家事)が人並みにできないのは、能力が劣っているからだと思う。
 ・仕事量が多い人ほど、価値がある人だと思う。
 こうした「業績達成にこだわる」タイプは、明るく活動的な人に多い。いつも何かに熱中していたいという気持ちが強く、自分で目標を立てて、それに向かって一生懸命に努力をするという前向きな姿勢が特徴である。
 このタイプの人がスランプに陥るとしたら、それは何かを達成した後で、次に情熱を注げるものを失ったときである。例えば、目標としていた医学博士を取得したとき。あるいは、目指していた学会専門医を取得したときなどである。周囲からみると、ようやく重荷から解放されたわけだからホッとしてもよさそうなものだが、このタイプの人にとっては違うのである。
 この手のスランプを避ける手段としては、目標を達成できそうになったら、次の新しい目標を見つけることである。もっとも、そのように新しい目標を次々に設定していくと、やるべきことが多くなりすぎて、過労に至らないとも限らない。時々息抜きをしながら、無理のない範囲で新しい楽しみを見つけるように努力するとよいだろう。