ストレス反応

急性ストレス反応と慢性ストレス反応

さらには遅延性ストレス反応などと分類できる
慢性や遅延性はなおさら難しいのだが
急性ストレス反応さえも簡単ではない
道を歩いていて突然ライオンに出くわすというのが
急性ストレス反応の典型的なモデルである。
アドレナリンがどばっと出るのであるがそれだけではなくて
ドパミンもセロトニンもノルアドレナリンもアセチルコリンもそしてその他もいろいろと反応する。
闘争・逃走反応(fight or flight reaction)などと言われる
fight or flight でしゃれているので
日本語でもしゃれて訳している。
fightは相手に打ち勝つ方向
flightは相手から逃げる方向
自分を守るために二つの方向があるのだが
逆方向である
現実生活ではどちらも有効である
どちらも大事
人生の最初には多分
fight 闘争 で対処できる場面が多いのではないだろうか。
しかし成長するとだんだん環境がそれを許さなくなる。
だいたいが自分と同じ程度の相手と勝負しなければならなくなって
場合によっては退却する必要が出てくる
町で一番喧嘩が強いやつも
甲子園に出るといろいろとすごいやつがいるのだと分かってくる
18を過ぎても俺はすごいと思っているようなやつは
甲子園を知らないやつだけなのだ
もっと年を取るとますますきつくなってくる
金持ちは金持ち同士で競争するし
美人は美人同士で競争するから
連戦連勝ではなくなる
日本では相手がいないと思って
大リーグに行けばそれはそれでなかなかきついことになる
fight or flight のどちらを取るかを決定するのは
相手のチカラを予想するチカラ、状況を読むチカラである
相手の方が強いと思ったら
今回は消耗しないで力を蓄えると
割り切ることも必要である
負け戦に戦力を消耗するのは懸命ではない
そのように考えてみると
戦力を蓄えることは必要だけれど
その戦力をいつどのように出すかも大切で
戦略というものだ
ーー
目の前の敵が大きすぎる場合には
一時的に退却するのが賢明である
ーー
プロ野球の日本シリーズでも
7戦のうち3戦は負けてもいいと予定して戦略を組む
これは負け試合と判断したら戦力を温存する
それができなかったのが巨人の藤田監督だった
ピッチャーをつぎ込んで6戦を落として3勝3敗、最終の7戦でピッチャーがいなくなって負けたことがある
第6戦が勝負と読んで投手をつぎ込んだが勝って決められなかった
ーー
強い弱いだけの問題ではなくて
自分を応援してくれる
風向きなのかとか
そんなことも大きな要素である
その戦いに勝ったところで
職場の雰囲気が完全に自分にアゲンストであれば
そのあとは茨の道である
正しいからいいのだとも限らないし強いからいいのだとも限らない
正しくないもの、弱いもの、あるいはずるいものにも、
精一杯の理屈も仲間も歴史もあって
一寸の虫にも五分の魂である
人間の社会は難しいのだ
ーー
だから
ストレスに際して
fight or flight はよく認知して決める必要があるのだけれど
急性ストレス時にはそのような判断力が失われている場合が多い
わけが分からないままに行動するのである
ーー
会社でのいじめ、パワハラも実際にはよくあることだ
我々が第三者の立場で介入すれば
いじめる側の病理も見えてくるもので
たいていはいじめる側に弱さもずるさもあるものだ
だからいじめられる側は
どうしてそんなチカラもない人間にいじめられなければならないのかと悔しく思うわけだ
そのときに
反撃すべきなのか退却すべきなのか
その情勢判断は往々にして
視野狭窄に陥っていて
見えていないことが多いと思う
まずいったん落ち着いて
冷静な判断を我々と共有できるようになれば
長期的な勝利のために戦略を組み立てることができる
とりあえずストレス反応に対しては
そのように対処したいものだ
ーー
現代社会で出会う相手はライオンではないので
一目散に逃げて
事が済むわけではない
逃げるというのは比喩的な意味になる
プレゼンテーションを一度さぼったとしても、いつかはやらなければならない。
逃走が有効とも限らない。
しかしまた闘争が有効なわけでもない
批判されることが分かっているプレゼンテーションに出ていって
良さ宇されたとおりの批判を受けてすませることが必要な場合があり
何というか実に無駄なストレスである
逆に、相手が強すぎるのに、戦いを挑んで、かえって事態を悪くしてしまうのも、少なくない。
また、本来は自分は子分だっただけで、親分同士の喧嘩に巻き込まれたという場合も結構多い。
親分の替わりにいじめられるというケースである。
その場合には、親分が報復を実行しなければならないのだが、
そうはならないこともあって、それではこちらはやっていられない。
そうこうしているうちに
疲れ切ってしまうものだ。
報われない戦いをひとりで戦うのだ。
疲れるはずである。