ダブルバインド(二重拘束)については
またいろいろな考え方があるだろうと思う
ーー
原型としては
言語メッセージと
身体メッセージが逆のことを伝えている場合で
たとえば
母親が表情としぐさで思いっきり「あっちに行け」と伝えつつ
言葉では「こっちにいらっしゃい」と言ったとする
すると子どもは
表情を重く読めば遠ざかるべきだし
言葉を重く読めば近づくべきだ
そしてどちらもできなくなる
途方に暮れる
ーー
あなたは立派ねー
といやみったらしく言えば
言葉だけ受け取る人は少しはいいことを言われたと思うし
態度だけ受け取る人はとてもいやなことを言われたと思うし
普通は両方を考えるから、そんな言葉をそんな態度で言うなんて、
なんだかいやーな感じだなということになる
ーー
派生したタイプのものとしては
たとえばエディプスの予言はどうだろう
お前は将来父親を殺すだろうと予言されたとする
それを実現したくないから父親から遠ざかる
遠ざかった結果、父親とは知らずにその人を殺してしまい
結果として予言は実現してしまう
これも予言から遠ざかろうとしてかえって拘束されていて
かといって予言を無視していればなおさら実現しそうで
なかなか難しい
ーー
また派生として
言語的パラドックスとして
たとえば
わたしは嘘つきだという
自己言及型のパラドックスを考える
それを他人に向けて
パラドックスを仕掛けたらいいのだ
全く魔法のように
相手は身動きできなくなる
ーー
食べる、しかし、吐く
というのも
パラドックスの一種とも解釈できる
食べて負けて
吐いて負ける
食べないで勝つという
唯一の勝利に見える道は実は不可能の道である
それを目指す限りは
食べてしまい
結果として吐いてしまい
必ず負ける
パラドックスというより
唯一可能な道と言うべきだろうか
食べてはいけない
食べないではいられない
吐いてはいけない
吐かないではいられない
禁止があるが
それは必ず破られる
禁止の標識がある方にばかり向かってしまう
禁止の標識がなかったら
気にせずどちらにでも歩いていただろう
しかし禁止があるから
かえってそちらに向かってしまい
禁止をやぶってしまう
これはエディプスの予言に似ている
普通は食べないでいられるし
吐くなんていう苦しいことはしたくない
でも食べてしまうし吐いてしまう
ーー
筋肉を鍛えれば
必ず肉離れを起こすというのも
パラドックスだろう
肉離れを起こさないなら
もっと筋肉を増やせるはずだ
ーー
意志が強いから
危機を感じたときに食べてしまう
そして意志が強いから太ってはいけないと吐いてしまう
ーー
お宅のお母さん小太り?
それならバラドックストは無縁のひと
食べるから太る
という平明な人
ーー
ちょっと連想がゆるくなった