ストレスで過食の理由!! 「空腹ホルモン」に抗うつ効果!?
◎なぜ、人はストレスを感じたり気分が落ち込むと、過食になるかを、新しい研究は説明をします。
◎空腹になると分泌される「空腹または飢餓ホルモン」に、抗うつ作用があるようだという報告がありました。
◎食物を食べないで空腹になると、いわゆる「飢餓ホルモン」のグレリンのレベルが増加することが知られています。
◎この「飢餓ホルモン」は、ストレスによるうつ症状や不安感を防ぐのにも役立つようです。
◎ UT サウスウエスト大学メディカルセンターの教授のジェフリー・ジグマン ( Jeffrey Zigman ) 氏とマイケル・ルッター (Michael Lutter) 氏らが、 Nature Neuroscience 誌電子版に 15 日発表しました。
◎慢性的なストレスは、グレリンのレベルを上昇させます、とジグマン氏はいいます。グレリンのレベルが上昇すると、うつと不安に関連した行為は減少します。うれしくない副作用は、食べる量と体重の増加です。
◎グレリンへの身体の応答を妨げることが、肥満の治療法として示されていますが、それは、うつ症状のような、情緒に意図しない効果を生むかもしれないといいます。
◎今回の研究結果は、これらの飢餓ホルモンの働きは 1 つだけではないという考えを支持します、とルッター氏はいいます。むしろ、飢餓ホルモンは、おそらく情緒、ストレス、エネルギーレベルに影響して、行動応答の全体を調整します。
◎断食、食物を食べないことが、胃腸管でグレリンを生産させます。グレリンは、空腹の信号を脳へ送る役割を果たします。
◎ジグマン氏を含む研究チームは、以前の研究で、グレリン信号への身体の応答を妨害することが、食べる量を減らして消費カロリーを増やすことによって、肥満治療、体重のコントロールを助ける一つの方法となるかもしれないと示しました。
◎しかし、新しい研究は、グレリン信号を妨げると、うつ症状と不安を増加させるかもしれないと示唆しています、とジグマン氏はいいます。
◎新しい研究は、グレリンの情緒への影響を調べるために、実験用ネズミのエサを、 10 日間、かなり減らしました。この結果、ネズミのグレリンレベルは 4 倍になりました。
◎食物を自由に食べることができたネズミと比べて、食事が制限されたネズミ — グレリンのレベルが増加したネズミ — は、標準的なテストで、うつ症状と不安のレベルの低下を示しました。
◎研究者は、さらに、グレリン信号に応答しないように遺伝子を操作したネズミでも調べました。
◎グレリンに応答しないネズミは、食事が制限された普通のネズミと異なって、食事を制限されても、グレリンの抗うつ剤または抗不安薬のような効果を経験しませんでした。
◎また、グレリンが、慢性的なストレスによって引きこされたうつ症状を軽減するかどうかを調べました。攻撃的な暴力ネズミと一緒にすることでストレスを与えました。
◎ストレスを与えた後に、グレリンに応答できないように遺伝子を操作したネズミと普通のネズミの両方で、グレリンのレベルがかなり上昇しました。この上昇は 4 週間以上継続しました。
◎しかし、グレリンに応答できないネズミは、うつ症状の悪化を示しました。また、普通のネズミと較べて、かなり大きい社会的な回避を示しました。普通のネズミと較べて、食べる量も少なくなりました。
◎グレリンのこの作用は、進化論的見地から説明できると、ジグマン氏はいいます。
◎現代社会では、飢餓を防ぐのに十分な食糧が確保されています。しかし、狩猟採集民であった先祖は、食べ物を求めて出かけるとき、首尾よく食物を見つけるか、自分自身が夕食になる危険のもとで、できるだけ穏やかに落ち着いている必要があります。飢餓で誘発されたグレリンの抗不安性の効果は、サバイバルに有益であったかもしれません。
◎グレリンが、拒食症の理解と治療に役立つかどうかを確認することに非常に関心があります 、とルッター氏はいいます。特定の人々で、カロリー制限と減量が、抗うつ剤の効果を持つ可能性があります。
6/16/2008