ある人が質問した。
「敵への恨みに対して恨みで報復するのではなく、恩恵を与えて解決するというのはいかがでしょうか」と。
老先生はこうお答えになられた。
「恨みにも恩恵にも恩恵で返していたのでは、同じになってしまうではないか。
恨みには恨みで、恩恵には恩恵で、返すのがよい。」
ーー
「徳を以て怨みに報ゆるは如何」の一節である。
これは7の70倍赦せという新約聖書よりは、
目には目をという旧約聖書に近い。
徳を以て怨みに報ゆるのが
聖人君子と一見思われるのだが
そしてそのような意味合いの部分もありそうだが
ここでは、「そうではない、徳には徳で、怨みには怨みでよい」と語っている。
ーー
これもまた
いいものである。
この延長にゲームの理論がある。