カトリック、サレジオ会の神父、酒井陽介氏によるナウエンの入門書(ドン・ボスコ社 本体1000円)。
『ヘンリー・ナーウェン』 —–傷つきながらも愛しぬいた生涯
序 ヘンリー・ナーウェンの霊性と現代
第1章 霊性の変遷
第2章 ヘンリー・ナーウェンの人生の素描と作品にみる霊的変遷
第3章 ヘンリー・ナーウェンの霊性の特徴
第4章 ヘンリー・ナーウェンの霊性の神学的考察
第5章 傷ついた癒し人—ヘンリー・ナーウェン
年譜/著作一覧(邦訳一覧含む)
印象に残った箇所。
「彼(ナーウェン)の本を読む人は、自分は一人ぼっちではないと感じ、傍らに温かな存在を感じるだろう。しかし、それは単にお互いの傷をなめあうのではなく、人間を愛し、包み込んでくれる存在・神について語る。神こそがその癒しの与え主であり、そこに帰ることが愛の完成の一歩なのだと教えてくれる」(序 19頁)
『放蕩息子の帰郷』を書いたテーマとして、
「『あなたは私のもの』という呼びかけは、神の無償の愛の証そのものである。人がどんなに神の愛から遠ざかっていたとしても、神は決して自らを遠ざけることはない。人はだれでも、記憶の奥底に自分を名指して呼んでくれる方の声を覚えている。その声をもう一度聴きたいがために、また、聴くことによって自分の本当のアイデンティティを探し当てるために、人は神のもとに帰還するのだ」(第3章 89頁)
ナーウェンの全容をざっと知りたい人、もっと彼の作品を深く味わい人に、ぴったり。内容は学問的というより、一般の読者向けで難しくなく、分かりやすく案内してくれる。
http://amendo.exblog.jp/
より