Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)

Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)

仮想レンタル・サーバー
サーバー環境を電気や水道のように提供するという「ユーティリティ・コンピューティング」

EC2は,使った分だけで支払うという従量制のみが適用され,固定費は一切かからない。1インスタンスの1時間当たりの利用料金は10セントで,データ転送料金は1Gバイト当たり20セント。同社のストレージ・サービス「Amazon Simple Storage Service(S3)」と組み合わせて使うようになっているが,そちらの料金も1Gバイトで月額15セントと安い。データ転送料は外部とのトラフィック間のみで発生し,ストレージ・サービスのS3とEC2のあいだの転送については課金対象外となる。

従来のサーバー環境といえば,例えばDellなどの大手ベンダーのサーバーを購入,あるいは複数年リースして運用するというのが一般的である。これにはサーバーそのものにかかる費用のほか,設定/管理/メンテナンスにかかる費用や通信費,ハードウエア・エンジニアの人件費,保守契約料などが必要になってくる。

同社には「Amazon Web Services(AWS)」という事業部門がある。同部門によるサービスの第1弾は「Amazon Associates」,第2弾は「Amazon E-Commerce Service(Amazon ECS)」だった。前者は今やネットの世界で日々当たり前のように利用されているアフィリエイト・サービス。後者は,開発者が,Amazonの商品情報にアクセスし,Amazonと同様の機能を持つWebサイト/アプリケーションの開発ができるようにするというサービス。この考え方は今,すっかり定着しているばかりか,これを導入してビジネスで成功している人も多い。

 Amazonはこの2つにより,世界中のサイトを“支店”にするというWebサービス戦略を展開した。 これに対しEC2はそのほとんどが不要になる。

EC2は「Elastic Compute Cloud」(伸縮するコンピューティングのクラウド)の略称。このクラウドとは"雲"である。

 クラウドとはネットの「あちら側」を意味する。パソコン上の情報やアプリケーションは今後,すべてクラウド(ネットのあちら側)から提供されるようになるとGoogleは信じているという。これを読んで,AmazonもGoogle同様の考えを持っているのではないかと筆者は考えるようになっている。

「ネットのあちら側」ではコモディティ化(大衆化)をもたらすような「チープ革命」がハードウエアの分野にまで及んでいる。それを先導しているのがAmazon。