いままで報道があるたびに、
ネットや携帯という手段が
人と人との結びつきを薄めて、希薄な人間関係を作り出し、
引きこもりになったり、現実と遊離した考えを訂正できなかったりといった
論調が強い。
しかしまた一方では、
ストーカーが携帯で大量のメールを送りつけることで分かるように、
過剰に濃密な関係を形成してしまうこともある。
たとえば学校で友達とさようならをして家に帰り、
そのあとずっと友達からのメールを待っていたりもする。
古いドラマのビデオを見ていたりすると、
どうして携帯で連絡しないのかという意見が出たりして、
これは古いビデオなんだよと言ったりもする。
待ち合わせをしてすれ違うというとこもなくなったわけだ。
GPSがついていれば今どこにいるのかリアルタイムで把握できるので徘徊認知症老人にも使える。
ネット社会と引きこもりは正の強い相関になりそうなのだが、
逆にネット社会は強い人間関係の場になっていて、
行き過ぎれば強い束縛となり、強い監視の世界となる。
いつも連絡を入れさせて恋人の
行動を把握していないと済まない人もいる。
愛しているんですねというほのぼのとした話では全くない。
*****
このように見てくれば、
ネットと携帯の社会は、
近づきたい人間をもっと強くし、
遠ざかりたい人間をもっと弱くしているのではないかと思う。
つまり、ずうずうしくして押しの強い人間はもっとずうずうしくなる。
引きこもりたい人間はもっと引きこもるようになる。
そのようなことらしい。
それはネット・携帯とは関係なく、世の中が多様な生き方を
許容するようになってきたことの結果かもしれない。