慢性疲労、診断できる血液中のたんぱく質発見
2010年1月7日 提供:読売新聞
原因不明の激しい疲労が半年以上も続く「慢性疲労症候群(CFS)」を診断できる血液中のたんぱく質を、大阪市立大の木山博資教授(解剖学)らが発見した。
CFSには自覚症状を中心に判定する診断基準はあるが、血液の検査値など客観的な指標(マーカー)はなく、今回の発見は健康診断などに活用できそうだ。
木山教授らは、5日連続の運動で極度に疲労させたラットの脳下垂体の中葉と呼ばれる部分を分析。「α-MSH」というたんぱく質が異常に分泌され、血液中のα-MSHの量も上昇していくことを突き止めた。α-MSHの分泌は神経伝達物質ドーパミンが抑制しているが、ラットでは疲労がたまるにつれドーパミン産生能力が低下していた。
一方、CFSと診断された患者57人と、健康な30人の血液を使い、α-MSHの量も測定した。その結果、発症後5年未満の37人の平均値は健康な人に比べ、約50%も高かった。一晩徹夜した人の血液を調べてもα-MSHの量に変化はないことから、短期間の疲労とは関係がないこともわかった。CFS患者は潜在する人も含め、国内に200万人以上いるとされる。