ヒラメ・カレイ、目の偏りは脳のねじれから
2010年1月18日 提供:読売新聞
「左ヒラメに右カレイ」という目の偏りは、脳のねじれから始まることを、鈴木徹・東北大農学研究科教授(魚類発生学)らが突き止めた。
ねじれる方向を制御する遺伝子も特定した。人工飼育では目の位置が本来と逆になることも多く、養殖技術を改良する手がかりにもなりそうだ。
ヒラメとカレイは、誕生時は左右対称の形だが、20-40日後に目がそれぞれ左と右に偏り始め、体色も目のある側だけが黒っぽくなる。
鈴木教授らは、右目と左脳、左目と右脳をつなぐ視神経のX形の交差部で脳のわずかなゆがみが最初に生じることを発見。そこから脳全体のねじれが進み、目の位置も片方にずれていくことを確認した。
さらに、人の心臓が左側に形成される際にも働く内臓の位置決定遺伝子「pitx2」が、ヒラメやカレイでは誕生前だけでなく稚魚の段階でも再び働き、脳のねじれを調節することがわかった。遺伝子操作でカレイのpitx2の働きを妨げると、目が左に偏ったり左右対称になったりした。
人工飼育したカレイでは、目の位置が逆のものが20-30%を占めることもある。鈴木教授は「稚魚の生育環境の違いがpitx2の働きを抑えるのではないか」と話している。