統合失調症の場合にみられるうつまたはうつ類似症状をいくつかに分類すると
A.疲弊性うつ、
B.陰性症状
C.薬剤性(パーキンソニスム、アンヘドニア、アパシー、アカシジア、アキネジア)
があり
病期と関連させてみると
1.前駆期……陰性症状
2.極期……幻聴、被害妄想などの陽性症状が前景に立つのでうつは隠蔽される。急性期極期に明らかなうつ状態がある場合には統合失調感情障害を考える。
3.急性期後……疲弊性うつ、陰性症状
postpsychotic depressionつまりICD-10でいう統合失調症後抑うつはA,B,Cのいずれの可能性もある。
薬剤性の場合にはドパミン遮断薬またはSDAの量を調整しまたは種類を調整し、さらには必要に応じて抗パーキンソン薬を加えることによって対処する。
しかしながらここで疑問なのは、
統合失調症の変調の本体がドパミン系の失調であるならば
ドパミン系だけを治療すればよいはずである
それなのにSDAを用いることは、
治療の際にドパミン遮断薬とセロトニン作動薬を併用することと違いがあるだろうかということになる。
図式的に言うと
統合失調症には陽性症状と陰性症状があって、
陽性症状はドパミン遮断薬で、陰性症状はセロトニン作動薬で対処する、
その両方を兼ね備えた薬がSDAである。
そうならば、両者のバランスを微調整するために
ドパミン遮断薬を加えたり、セロトニン作動薬を加えたりするのは意味がある。
しかし立ち返って考えてみると、
ドパミン系とセロトニン系を独立に個々の場合に応じて調整する方が賢明だと言えないだろうか。