テレビ局の構造

採録 

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不況で、テレビ局や新聞社も赤字のところが出始めてきている。確かにCMの量は減っている。番組の予告宣伝をしているのは、広告(CM)枠が埋まらなくなってきているからだ。

テレビ局の番組制作などの仕事は、大半は制作会社の力を借りて行われている。一口に制作会社といっても、番組企画まで手がける制作全般の中心になる会社、部分的に協力する会社、ディレクターやアシスタントディレクターなどの人材を派遣する会社、技術や美術専門の会社などがある。

正規雇用のエリート社員は人数的には少数で、実際の仕事の範囲は、番組編成や広告(CM)営業、ニュース報道といった分野に限られる。

テレビ局は、大半の仕事を制作会社に発注している。番組の企画自体も、制作会社から持ち込まれることも少なくない。発注を受けた大手の制作会社は、小さな制作会社に発注を出し、さらに小さな零細プロダクションに発注するとい構造になっている。これは建設業界と同様だが、日本の産業構造自体が、同様で、大手ほど実際の現場仕事はせず、ピンはねで莫大な利益を得ている。

テレビ局のエリート正社員は、誠実で謙虚な人物もいるだろうが、大抵は傲慢で異様にプライドが高く特権階級意識を持っているような連中で占められている。

そのエリート社員たちは、下請けプロダクションの殺生与奪の権を握っている。テレビ局の体制は、少数の王侯貴族と大多数の奴隷で成り立っていたという古代奴隷社会のようだ。下請け企業からの派遣社員は、社員エリートの命令に従わなくては仕事ができなくされる。もし、小プロダクションの社員が、テレビ局のエリート正社員を少しでも批判しようものなら、即刻クビが飛ぶという。

テレビ局は、正規の派遣ですらない偽装出向や二重派遣、ピンハネアルバイト労働の温床であり、タダ同然で働くアシスタントディレクターたちが(彼らの中には、マスコミ業界で働けるなら給料をもらわなくても良いと思っているような青年もいる。これがアシスタント・ディレクターの賃金を引き下げている原因となっている側面がある)、多数いて、テレビ局を底辺で支えている。

百歩譲って、制作会社に仕事を回し指図している局の正規社員たちが、もらっている給料の額通りに、能力があり人格的にも優れた人材ならまだ納得できる。しかし、彼らは、能力や実績で職と立場を得ているわけではない。

テレビ局に入社する社員(数十人に過ぎない)のかなり部分は、政治家の子弟や広告スポンサー企業の子女で占められている。これに、同業マスコミの関係者(常連のタレント評論家や司会者など)や、ミスコン優勝者が加わり、限られた採用枠が埋まっているのが現状だ。コネの無い、一般公募による就職倍率は、非常に狭き門となっている。

「2008年全上場企業3733社年収ランキング」によれば、1位の朝日放送(大阪)は平均年収1556.7万円! 2位はTBS、3位はフジ・メディアHDと、ベスト3はテレビ局が独占。日本テレビ放送網も6位に入っている。キー局の正社員の平均年収は、30歳位でも軽く1000万円を超えている。

このような特権階級にいるテレビ局の正社員や幹部、経営者たちが、本気で今の体制を変えようなどと思うはずがない。彼ら個人としても、現体制のまま続いた方が楽でいい暮らしができるわけだし、企業として観ても、戦前から続いている現政治権力と企業の利益を代弁し、その利益に奉仕すよう国民を洗脳し支配する道具としての役割を担っているからだ。

テレビ局は視聴率至上主義といわれるが、それは一般大衆を支配側に都合のいいように洗脳するという目的に叶っている。