共産主義と市場主義

共産主義ではうまくいかないと結論が出て、
一方、過度の市場経済主義は社会を不安定にする傾向がある
との議論も絶えない。

普通に考えれば、
汗の量に比例して報われるのが正しい社会制度である。

共産主義ならば、「さぼれるだけさぼる」主義が横行するだろう。
俺はこんなに汗をかいたと嘘をつく。

市場主義ならば、努力の結果ではない才能の結果を、
「汗の結果だ」と嘘をつくだろう。
楽をしていない、これは汗の結果だと嘘をつく。
たいていは、才能か資本の結果である。
結果だけが評価されるのである。

どこかのタレント社長のように、
法律の抜け穴だけを商売のきっかけにするなんて、
共産主義も市場経済主義も想定していない、
トリビアルな、長期的には無視してもいい、現象である。

結局、
チャンスは平等で、あとは努力の結果であるとする
嘘がまかり通っている。
才能だけで報酬を決定してしまうのは嫌われる。
少なくとも、才能あるものは人並み以上の努力を厭わないことになっている。

才能は親からもらったものだ。
資本も、親からもらったものだ。
そして才能と資本に恵まれなかった者は、
どうしようもない。

どうしようもない人が、99.99%である。

絶望が待っているだけだ。
ただ絶望だけが現実だ。

そこから話は出発するだろう。
そうした絶望に立脚して、
それでも人間は生きていくのだと、意志を明らかにして、
前進するしかない。