愛の言葉と世の無常

1.A君のある日のことば

わたしは8年前の今日、たしか彼女に初めて会ったはずです。
ずっと忘れられません。
愛する人のそばにいられれば、それだけでいいんです。
彼女の全てを受け入れて、
彼女の全てを愛して、
そして彼女を守って死にます。

わたしは誰をも傷つけたくありません。
そして誰からも傷つけられたくありません。

傷つけたり傷つけられたりが人生だといいますが、
わたしはそれを最小限にしたいと思います。

傷つけられても相手にも事情があるのだからと思い、
文句も言いませんでした。
人のために尽くしてきました。
でも、もう限界が見えています。

不平を言わず耐えてきましたが、
もう、限界かもしれません。

ただ、彼女への一方的な思いが彼女を傷つけてしまう、
その矛盾に苦しんでいます。
わたしはただ純粋に愛したいのです。
遠くからでもいいのです。
ひそかにでもいいのです。
しかしそれさえ、彼女を苦しめるのかもしれません。
彼女を苦しめないで、愛し続ける方法はないのでしょうか。
彼女を愛していると思うだけで、
私のこころは浄化されるのです。
報われない愛が私を浄化するのです。

2.A君の数年後のことば

あなたを愛している。
私の人生の全てを捧げる。
あなたを愛し続けます。
あなたが振り向いてくれないならわたしは死にます。

(ふたりは結ばれた。)

3.A君の現在のことば

離婚したくて話し合い、
昨日はもう暴力沙汰。
彼女は妹さんのところに行った。
いちいち言うことがかんに障る。
いつもケアテーカー気取りで。
何も分かっていない。
説明しても理屈をつけて自分を見ないようにしているだけ。
私を支配したいだけ。
離婚しかない。
アウディは二台とも売却、マンションも売却。
お金に換えて、分けます。