怠け者ニッチは根絶できない

 蟻の巣では、膨大な数の働き蟻の3割程度がほとんど働かないことが知られている。その3割を人為的に除去すると、今度は残った7割の働き者のうち、やはり3割程度が怠け出すことが知られており、何度この操作を繰り返しても怠け者ニッチは根絶できない。
 真面目な努力家や明るい社交家など、人間個人の性格の違いは、第2次世界大戦後の数十年間にわたって、米国のスキナーが主導した行動主義心理学の強い影響下で、教育や環境という後天的な要因が非常に強いという説が主流を占めていた。しかし、しばらく前から、今度は逆に、膨大な数の一卵生双生児の追跡調査などから、生来の素質を強調する主張が台頭し、両者間で論争が延々と続いていたが、最近は性格をニッチとして捉える説が有力だ。
 なぜ、特定の普遍的ニッチが存在するかというのは、なかなか深遠な問題である。例えば、全く同じ部品で、同じ設計のロボットを、全く同様に複数製作して、さらに相互の距離を一定の範囲に取るようにした全く同一なプログラムを搭載して、一定の空間に閉じ込めて自由に相互作用させる。
 すると、常に一番先に動くスバシコイ個体と、遅れてそれに反応するノロマな個体に、人間同様に綺麗に性格分化することは、20年以上前から知られている。各個体の能力が99.9999%同じであっても、極微細な部品の質や組み立ての差が、個体同士の相互作用、関係性によって、ニッチとして大きく分岐するらしい。要は、相互作用や競合が緊密であると、わずかな能力差や環境制約で、ニッチが決まるようだ。個体に限らず種でも同様だ。
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制度にまつわり必然的に発生する現象と考えがたちだけれど
制度らよらず、制度以前の必然らしい
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いじめっ子といじめられっ子も同じ原理らしい
いじめられっ子だけ集めると平和かというとそうでもなくて
やはりいじめっ子が発生する
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美人という認識もそのようなものらしい
集団の中での相対的な位置関係で決まる意識のようだ
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怠け者ニッチは根絶できない
という命題から考えてみると
働き者ニッチは常に作り出すことが出来ると言える
集団があれば必然的にその一部は働き者になるのだ
それだけのことだ