おじいさんの恋愛指南

他人には簡単だが、
当人には難しいことがある。

自分の背中の張り紙を見ること。
自分を客観的に見ること。

恋愛の状況判断もそのひとつである。

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そこが一番のポイントであるが、
まずそこにたどり着く前に、
原則がある。

何と言っても、
注意を持続して、
恋愛の言葉がけを怠らないことである。

好きだ、待っている、欲しいというサインを送り続けること。

相手も人間だから苦しいこともあり、
誰かに頼りたくなることもあり、
従って、「あ、あの人と話してみようかな」ということが必ずある。
どんなにきらわれて、警戒されていても、必ずある。

たとえば、女にだらしなくて、だめな奴と思われていても、
「女にだらしない人はどんな気持ちでだらしなくなるのだろう」と
知りたくなることがあるかもしれない。
そのときは、二人だけ出会えるチャンスになる。

たとえば、みんなに嫌われている一匹狼で、
あの人と付き合ったら、わたしも変人とみなされて、
みんなからいじめられると思っていても、
何かの都合で、
「誰ともつき合いがなくて絶対に秘密を守れる人は多分あの人だ」と思われて、
二人だけで会うチャンスが生まれるかもしれない。

「オタク」な人って、どんな風だろうとか、
いまコンピュータを買うならどれがいいのかとか、
テニスクラブの入会に必要な紹介者になって欲しいとか、
いろいろあるものだ。

だから、どんな風に思われていようと、ぜんぜんかまわない。
こちらが好きだったら、どんなにしつこいと思われてもいいから、
思いを伝え続けることだ。
不思議なことに、道は開けるのである。

こちらの気持ちの波と、
向こうの気持ちの波が一致する瞬間を、待つ。
いつまででも、待つ。
一生待って、人生が無駄になっても、全くかまわないという気持ちで、待つ。
ただ待っているだけでは、
待っていることが分からないといけないから、
何かを伝える。

しかし、しつこすぎて、もっと嫌われたり、ストーカーと警察に通報されたりするかもしれない。
その程度の調節がコツである。

一般に、沖縄の人ならば、かなり熱烈でいい。
毎朝携帯メールくらいはいいだろう。
一般に、旧華族というような人たちは、古いしきたりの日に合わせて、
思いを伝えるべきで、
たとえば、お月見は、一度ではなく二度やるのが旧華族のしきたりなので、
抜かりなく、十五夜と二日後とに、二度に分けて、月と恋をかけた和歌を送るのである。

その人は、どの程度のしつこさならば、
見逃してくれるのか、
注意深く、測定する。
ポイントはここに尽きる。

個々の例で違うので、
抽象的にしか書けないが、
諦めないで、気持ちを伝え続けることである。
道は開ける。

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歳をとってみると、結局、諦めずに、気長に、というか、持続的に熱心に愛し続ければ、
幸せになれるようだ。

当たり前のようだが、本当だから、
若い人には実践してもらいたい。

相手に適した間隔で、愛していること、待っていることを、伝え続けること。