エスペラント語の文法は規則的である。
規則的なので覚えることが少ない。
規則的であることの利点はもうひとつ。
造語のシステムが「行き渡って」いる。
このため一つの単語を知れば、ルール通りに単語を作り出せるので、覚える単語も少なくて済む。
例を示そう。
ラテン語、Dum spiro, spero.(息する間、私は希望する)というのがある。
ラテン語の「希望する」は、一人称単数現在形で「spero」。
これがルーマニア語だと「speranta」
イタリア語だと「speranza」
スペイン語だと「esperanza」
フランス語だと「espoir」
エスペラント語では「esperas」
である。
エスペラント語は、品詞ごとに語尾が決まっている。
名詞の語尾は-o、形容詞の語尾は-a、副詞の語尾は-eである。
動詞の場合は、現在形(-as)、過去形(-is)、未来形(-os)、仮定形(-us)、命令形(-u)、不定形(-i)と語尾が決まっている。
したがって動詞の活用をただ一種類覚えれば事が足りる。
esperas(希望する)
esperis(希望した)
esperos(希望するだろう)
esperus(希望するならば)
esperu(希望せよ)
さらに動詞を名詞にしたり、形容詞にしたり、副詞にするのも、この語尾のルールに従えば良い。
espero(希望;名詞)
espera(希望の;形容詞)
espere(希望に;副詞)
同様に名詞/形容詞/副詞から動詞を作ることもできる。
動詞の続き。分詞は能動と受動に分かれ、
それぞれに継続相(ずっと~している)、完了相(~した)、将然相(今まさに~しようとしている)がある。
それぞれの語尾をまとめるとこんな感じになる。
能動 受動
現在形 -as 継続相 -ant- -an-
過去形 -is 完了相 -int- -in-
未来形 -os 将然相 -ont- -on-
「希望する」で例を続けよう。
esperant(希望している)
esperint(希望した)
esperont(希望しようとする)
esperan(希望されている)
esperin(希望された)
esperon(希望されようと)
分詞にも、名詞、形容詞、副詞の語尾をつけると、名詞/形容詞/副詞になる。
esperant(希望している) esperanto(希望しているもの;名詞)
ずっと希望を継続しているもの(者)、つまり「希望を抱き続ける人」、
これがesperanto(エスペラント)である。
創始者ザメンホフは、この言葉をペンネームとした。
このことからesperanto(希望を抱き続ける人)という言葉が、言語自体の名前となった。