インターネット依存がティーンのうつ病に関連
2010/08/10(火)
インターネットに過剰な時間を費やすティーンは、うつ病の発症リスクが高いことがオーストラリアの研究で示された。研究グループによると、1990年代から他の依存症に類似する徴候として制御のきかないインターネット利用が問題視されており、人間関係や健康上の問題、攻撃的な態度などの精神症状との関連が認められているという。
研究を率いたノートルダムオーストラリアNotre Dame Australia大学医学部(シドニー)のT. Lam氏は、親が子どもの行動に注意し、インターネット利用について問題があれば直ちに専門家に相談する必要があると述べている。「メンタル面で健康な若者であっても、問題のあるインターネット利用を長期間続ければうつ病になる可能性がある。すでに心理障害や精神障害の病歴を有している場合には影響はさらに大きい」と同氏は指摘している。この報告は、医学誌「Archives of Pediatrics & Adolescent Medicine(小児・思春期医学)」オンライン版に8月2日掲載された(印刷版は10月号に掲載予定)。
今回の研究でLam氏は、中国、中山Sun Yat-Sen大学(広州市)のZi-Wen Peng氏とともに、中国の13~18歳のティーンエイジャー1,041人の病的なインターネット利用についてデータを収集。被験者のうつ病および不安について評価するとともに、病的なインターネット利用および一般的な常習行為について尋ねた。
研究開始時点で、ティーンの6.2%に中等度の病的なインターネット利用の問題がみられ、0.2%には深刻なリスクがあると分類された。9カ月後に再評価した結果、0.2%に不安症状、8.4%にうつ症状がみられた。インターネット依存のあるティーンではうつ状態になるリスクが2.5倍高かったが、インターネット利用と不安症状との間には関連はみられなかったという。
「研究結果は、病的なインターネット利用のある若者はメンタル面の問題が生じるリスクが高く、その行為を続ければうつ病を発症する可能性を示していた」とLam氏は述べるとともに、「若者のうつ病を減少させるには、学校でスクリーニングを実施するなど、リスク集団を標的とした早期の介入および予防措置が有効である」と付け加えている。
米南カリフォルニア大学のMichael Gilbert氏は、うつ状態になったティーンにはインターネット依存になる前からそのリスクがあったのか、その他の常習行為のリスクがあったのかについて疑問が残ると指摘。また、インターネット利用と心理的問題を結び付ける因子の一つとして、インターネットが孤独や疎外感をもたらす点を挙げている。ギャンブルやポルノを含め、このような「行為の過程で生じる依存症(process addiction)」にもっと目を向ける必要があると同氏は述べるとともに、親による監視の重要性も指摘している。