うつ病における双極性障害の過剰診断が転帰悪化に関連

Compr Psychiatry 2010; 51: 99–105
英語版 配信日 2010-02-24

MedWire News:誤って双極性障害と診断されたうつ病患者は、双極性障害の診断を受けなかったうつ病患者に比べて慢性化しやすく、併発疾患も多いと、米国の研究者は結論づけている。

双極性障害は認識されにくく、実際に大うつ病性障害患者の多くが双極性障害であることが複数の研究で示されているが、ブラウン大学医学部(ロードアイランド州プロビデンス)のMark Zimmermanらによる初期の研究ではこれと正反対のパターンが見いだされている。

Zimmermanらの研究チームはこの点を詳しく調べるために、過去に双極性障害と診断されたものの、その後確定診断が得られなかったうつ病患者40例と、双極性障害の診断を受けたことのないうつ病患者233例を対象に研究を実施した。

両群の人口統計学的特性に差はみられなかった。双極性障害の過剰診断群はI軸の障害の生涯罹患数が5.8と、非過剰診断群の4.4に比べて有意に多く、こうした障害が3つ以上認められる患者の割合が有意に高かった(90.0%対71.7%)。

過剰診断群は特定の恐怖症および摂食障害の生涯罹患率がそれぞれ25.0%、30.0%と、非過剰診断群の11.6%、14.6%に比べて有意に高かったと、ZimmermanらはComprehensive Psychiatry誌の中で報告している。

さらに過剰診断群はうつ病に加え、特定の恐怖症、外傷後ストレス障害、薬物乱用/依存、パーソナリティ障害(特に境界性パーソナリティ障害)など、研究実施時に特定の診断を受けている患者の割合が有意に高かった。

過剰診断群は他の患者に比べて慢性化が著しく、エピソード数が多く、入院歴や自殺企図も多かった上、精神医学的な理由による欠勤が多く、社会的機能が不良であった。

ロジスティック回帰分析の結果、特定の恐怖症の現病、うつ病エピソード数、現在のエピソードの長さ、機能の全体的評定尺度のスコア、精神科入院歴が、双極性障害の過剰診断の予測因子であることが示され、そのオッズ比はそれぞれ3.4、1.1、2.8、2.9であった。

Zimmermanらは次のように述べている。「驚いたことに、特定の恐怖症の既往と過剰診断のオッズ上昇との間にも独立した関連性が認められた」。

「これが過誤でないとすれば、現時点では特定の恐怖症と誤診歴の関係は説明不可能である。ひとつ可能性として考えられるのは、特定の恐怖症がより複雑な病像のもうひとつのマーカーであるにすぎず、それが誤診の可能性を高める結果になっているかもしれないということである」。

 

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独立した関連性 とは 驚いた