認知症 地域で放置され無視される状況がないように

 厚生労働省の「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム」は2日、認知症患者と精神科入院医療についての「第2ラウンド」となる議論を開始した。精神病床での認知症入院患者の状況把握調査や構成員のヒアリングを通して、今冬をめどに一定の方向性を示す。

 同検討チームは、第1ラウンドとして「アウトリーチ体制」の具体化について検討を行ってきた。第2ラウンドでは、認知症患者と精神科入院医療について▽認知症患者に対する入院医療の役割の明確化▽現在入院している認知症患者に対する対応▽今後入院医療を要さない人が、入院を継続しないための取り組み-の3つの論点で議論を進めていく。

 第1回目となる同日の議論では、野村忠良構成員(東京都精神障害者家族会連合会長)が「社会全体での取り組みが必要」とした上で▽認知症患者本人の尊厳をいかに守るか▽家族の生活をいかに守るか▽精神科の医療の在り方-の3点を考える必要があるとした。また、地域住民の啓発の必要性を指摘し「地域で放置され無視される状況がないようにしなければならない」とした。

 河崎建人構成員(日本精神科病院協会副会長)は「これまでの統合失調症を中心とした病院のかかわり方と、認知症とのかかわり方は違う」とし、問題点を整理した上で共通認識を持って議論に当たるべきと述べた。

 渕野勝弘構成員(医療法人社団淵野会緑ヶ丘保養園院長)は「認知症の6-7割の患者さんが専門医の診断を受けていないという話もある」と指摘し「早期の診断と鑑別が医療として重要」と述べた。

今月中にも医療状況調査を実施

 同日の検討チームで厚労省は、精神科病院に入院している認知症患者に対する医療の状況や患者の状態などを把握する調査を、9月中にも実施すると明らかにした。認知症入院患者を多く受け入れている10カ所程度の病院を対象に調査票を配布し、必要に応じて詳細なヒアリングも行う。

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