太陽電池飛行機「ソーラー・インパルス」

太陽電池飛行機「ソーラー・インパルス」、初の試験飛行に成功

 

  太陽電池飛行機「ソーラー・インパルス(SolarImpulse)」の試作機(プロトタイプ)による初の試験飛行が4月7日、スイスのパイエルヌ空港で行われた。

  「ソーラー・インパルスHB-SIA」と名づけられたこの試作機は現地時間4月7日10時27分(日本時間17時27分)、パイエルヌ空港を離陸。約1時間30分にわたって飛行し、最高高度1200mに達した後、無事着陸した。

  今回の飛行について、テストパイロットのマルクス・シャーデル氏(MarkusScherdel)は「この初飛行は私にとって緊張な一瞬でした。HB-SIAはフライトシミュレーションと同じように飛行し、巨大な翼と軽いボディであるのにも関わらず、制御性能は我々の期待通りでした」と述べた。

  「ソーラー・インパルスHB-SIA」は、スイス人飛行家のベルトラン・ピカール(BertrandPiccard)氏らによって開発され、翼幅61m、ボーイング747-400と同じ幅でありながらも、重さはわずか1600kgと乗用車程度しかない。翼には1万2000個以上の太陽電池が取り付けられており、燃料を使用せず、これを動力として4つのモーターを動かして飛行する。

  また、機体には重さ約400kgのリチウム電池が載せられており、太陽電池で充電した電力を用いて、夜間の飛行も行う。これにより、「ソーラー・インパルス」は世界で初めて、太陽電池のみで昼夜飛行する飛行機を実現する。

  機体は2009年6月に初めて公開され、2009年12月には初飛行が実施されたが、高さわずか1メートル、距離にして約350メートルしか飛んでいなかったため、試験と呼べるほどの飛行ではなかった。

  「夜の飛行や世界一周までは長い道のりですが、チームによる今日の素晴らしい飛行によって、我々はその目標に向かって最初の一歩を踏み出した」

  「ソーラー・インパルスHB-SIA」の飛行成功を受け、ピカール氏はこのように述べた。

  ピカール氏らによると、今後も飛行試験を続け、その後、世界初の昼夜連続36時間の無着陸飛行に挑戦する予定。さらに、後続機体「ソーラー・インパルスHB-SIB」を開発し、2012年には25日間かけて、太陽電池飛行機による世界一周飛行にも挑戦する予定だという。(情報提供:sorae.jp)