親からもらったもの

親から不動産や株をもらって裕福に生きている人たちがいます。
嫉妬されますから、そんな人たちはあまり大きな声で言わない。
でも、私など、自分で稼ぐしかない人間にとって見れば、
夢のようなご身分である。
もちろん、中には可哀想な人もいる。
知恵にふさわしくない財産をもっていると、悪い人が寄ってくる。
そしてあっという間に不幸なことになる。
財産を失うだけならやり直しもできるが、
配偶者を失い、結局のところ健康を害した人もある。

ある弁護士さんはとても優秀、かつ、勤勉。
人柄も温厚、謙遜。言うことはない。
ここで考える。これはその人の苦労の賜物なのだろうか、
それとも、親からもらった物なのだろうか。
多分、親からもらった知性と感情が、現実の人生の中で鍛えられて、
こうなったには違いない。
これだって、不動産を相続したのと同じようなものだ。
あるいは、どうせ相続するなら、
知能と人柄の方がいいと誰でも考えるだろうか。

その人は、苦しんで自分を律して、その結果立派というのでもない。
ただ自然にその人らしくしていて、周囲の尊敬を集めている。
そんな人だ。

志を立てたとしても、誰でもそうなれるはずもない。
その人はやはり恵まれているのだ。
恵まれた人は自然と円満に幸せになる、ように思える。

だとすれば、結局、人生は途方もなく不平等だということになる。
こんなことでいいのだろうか。
これは私のひがみなのだろうか。

昔から哲学者は、すべてのことは帳尻が合うようにできているのだと説明する。
宗教者はなおさらだ。
そして現世で償いがつかないことについては、
あの世で神様が調整するのだとも言う。
そうであったらいいですな。是非。