薬院4丁目に精神科クリニックと相談専門施設
医療法人済世会 投資額3億円、2月1日オープン
糟屋郡篠栗町尾仲の河野病院はじめ3つの精神科専門病院などを運営する医療法人済世会(同所、河野正美理事長)は2月1日、福岡市中央区薬院4丁目に復職デイケア併設の「薬院河野クリニック」と相談専門施設「メディカルサポート薬院」を同時オープンする。投資額は約3億円。
これは、うつ病など精神を病む患者が増加するなか、「精神科病院に対する従来のイメージを払拭し、敷居を下げる」(河野理事長)ことを目的に開業するもので、同法人にとって30数年ぶりの福岡都心部進出。4年前から心を病んだ患者の社会復帰を支援する「にじいろプロジェクト」の一環としてクリニックに復職デイケア室を併設したのが特徴。場所は県立福岡中央高校北側付近。建物は九州経済産業局の旧研修施設で、同法人が昨年約2億円で落札。敷地面積が750平方mで、2階建て建物の延べ床面積が525平方m。1階にクリニックの診療室と復職デイケア(リワークゼミナール)室、メディカルサポートの相談室を配置。2階には理事長室と情報管理室やスタッフルーム、代議士も務めた同法人創設者の故河野正前理事長ゆかりの品を展示するメモリアルホールを設けた。復職デイケア室は22人対応でき、復職できるまでのプログラムをサービスとして提供する。院長には河野病院の生野信弘医師が就任。生野院長は長崎県佐世保市出身。1960年12月21日生まれの49歳。長崎大学医学部卒―同大大学院医学研究科修了。95年同大医学部附属病院や佐世保市立総合病院勤務などを経て、01年5月から河野名島病院や河野病院に勤務。その後、横浜舞岡病院や南青山心友クリニックなどを経て、昨年6月河野病院に復帰していた。スタッフは生野院長と看護師2人のほか、今回、情報管理室をはじめ篠栗町の本部機能を一部移すため、総勢約10人になる。
メディカルサポート薬院は、「セカンドオピニオン外来」で、相談者の現在の主治医からのセカンドオピニオン紹介状や検査資料、画像資料をもとに相談を受け、主治医への報告まで行い、「現在、受けている診断・治療法を選択し、納得して診療を受けてもらう」という。担当医師は前福岡赤十字病院院長(現名誉院長)で昨年1月に就任した今泉暢登志河野病院院長と前河野病院院長の阿部弘樹医師(福岡県議)、河野病院の岡澤猷夫医師、河野理事長の4人体制で、メンタルヘルス全般から外科、整形外科、内科、血液・腫瘍内科まで完全予約制で受ける。また、うつ病経験者が15人に1人と年々増え続け、うつ病の種類も増加するなか、都心部に立地する利点を生かし、経営者層などのエグゼクティブ層や産業医的な企業ニーズにも応えていく。
同法人は1946(昭和21)6月開業、51年7月設立。河野病院(140床)のほか、糟屋郡宇美町の河野粕屋病院(250床)、福岡市東区の河野名島病院(179床)の3病院を運営。09年3月期の医業収益は23億9329万円、従業員370人。同法人では昭和40年代に現・アクロス福岡前にある毎日福岡会館内にクリニックを開業していたことあり、河野理事長は「今回の都心部進出は私の中では“父のリベンジ”といった意味合いもあるが、何より4施設体制で精神科患者の社会復帰支援をより推進していきたい」と話している。