人身売買 : 脱北者弾圧を非難 米下院公聴会「中国で女性人身売買」 (2010.09.25)
産経新聞 9月25日(土)7時56分配信
【ワシントン=古森義久】米国下院のトム・ラントス人権委員会は23日、「北朝鮮脱出者の苦境」と題する公聴会を開いた。公聴会では北朝鮮を逃亡する人たちの苦境が報告され、超党派の議員が北朝鮮と中国の両政府の非人道的な弾圧を非難した。
議長役のエドワード・ロイス議員(民主党)は、「北朝鮮政府が国内に約20万もの政治犯を拘束する一方、中国政府は中国領内に脱出してくる北朝鮮難民が売買されることを防がず、脱北者を『違法経済移民』として逮捕し北朝鮮へ送還している」と批判。委員会が脱北者たちの証言を基に作成した北朝鮮当局の懲罰や拷問、強制堕胎などの描写図を十数枚、公開した。
クリス・スミス議員(共和党)は飢餓や弾圧、貧困で中国領へ逃げた脱北者が現在、中国に3万~5万人いるという米政府機関などの統計をあげ、「女性の90%以上が中国で人身売買され、強制結婚や売春をさせられているが、中国当局は彼らを難民と認定せず、国連難民高等弁務官事務所の立ち入り調査を認めていない」と指摘した。
アラン・ウルフ議員(共和党)は「中国国内で北朝鮮女性の大多数が1人数百ドルで売られている。その犯罪行為を黙認する中国政府にオバマ大統領は正式に抗議すべきだ」と述べた。
公聴会では女性脱北者3人が証言した。平壌出身で数年を中国で過ごしその後、韓国に定住したカン・スジンさんは「韓国に住む脱北者の8割は女性だが、その9割が中国で人身売買の犠牲になった体験がある」と語り、「中国で中国人男性に買われて結婚し、出産した女性たちの子供は違法滞在者として扱われるので、中国当局は方針を変えてほしい」と訴えた。
2004年から韓国に住むパン・ミスンさんは「私も生活苦から中国へ逃げたが、すぐにブローカーに捕まり数カ月間に3回も売られた。売買が繰り返されたのは売られた先から逃げたからだ」と述べ、一度は北朝鮮に送り返され、収容所での過酷な生活を強いられたことを証言した。現在、米国に住むジョ・ジンヘさんも「中国で10年暮らす間に北朝鮮女性が数え切れないほど売買されるのを目撃した」と述べた。