もっともである。
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AERA 2006.5.1-8(No.21)の85~87ページに、「ナチュラルバースは甘くない」という記事があり、興味深く読みました。
ナチュラルバースを実施している個人医院や助産院などを分娩場所として選択する妊婦さんも少なくありません。そういう施設では、妊婦検診中に低リスク妊婦だけをセレクトしていると思いますが、いくら正常分娩になりそうな低リスク妊婦だけをセレクトしたとしても、分娩の途中で異常が発生するケースは必ず一定の確率であるはずです。
おそらく、そのような施設の管理者は、分娩経過中に何か異常が発生したら、すぐに緊急対応可能な近くの総合病院産科に患者さんを救急車で送りつけてしまえば万事OKと安易に考えているのだと思われます。しかし、救急車を受け入れる立場の総合病院の産科も、今は自分のところの患者さんの管理で手一杯の状況です。『ナチュラルバース志向で、何のリスクの説明もされていない、生命の重大な危機に陥っている妊婦さん』を受け入れる人的余裕など、はっきり言って全くないのが現状です。
あまりに無責任な診療を行っている施設で起こった事故の責任まで、我々が負うことはもはやできません。今後は、個人医院や助産院で、リスクの説明を全くしないで、緊急時の対策も全く考えずに分娩を取り扱い、分娩経過中に何か重大な異常が起こって総合病院産科に緊急搬送した場合には、その搬送元の医師なり助産師なりに診療の結果に対する応分の責任を負っていただくのが当然であると私は考えています。
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東京都23区の特殊事情で言えば、
総合病院産科が分娩から撤退しつつあり、
都立青山病院が廃院になるなども一つのシンボルであるが
都心部で医療が手薄になっている感じはある。
正常分娩を大学病院でというのもなんだか考えてしまう。
地方に行って出産すれば費用が安いこともあり、母親が手伝ってくれることもあり、
実家で出産する計画の人も多い。
奈良県で救急車たらいまわしが問題になったが、
都心部で起きても不思議はないようにさえ思う。
産科だけではなく小児科も、救急も、不安だ。
極端に言えば、電車で一時間乗らないと救急窓口にたどり着けないかもしれない。