統合失調症のニューロン新生障害仮説について-2

●最近、成体の脳でも新しくニューロンが産生されることが明らかになり、
その分子機構や認知、記憶などの脳の高次機能への影響、さらに気分障害との関連について研究が盛んになっている。

○脳ではシナプスの新形成や消滅は起こり、それが学習であると考えられてきた。
しかし、新しい神経細胞の産生については否定的で、
だから、脳血管障害などで脳神経が損傷された場合に、
再生は絶望的とみられることが多かった。
それが、特定部位に限ることではあるが、脳でも新しく神経細胞が産生されていると分かり、
これが統合失調症研究の手がかりとならないかということになっている。
この点はかなり画期的だ。

●われわれは数年前から統合失調症様の行動異常を示すラット変異体の解析を行うとともに、
脳の生後発達におけるニューロン新生の様態の解析を行ってきた。
その過程で、統合失調症発症の素地としてニューロン新生の障害があると考えるに足る証拠が多数散見されることに気付いた。

○というわけで、本論に突入する。